花火何度目かの共同任務が終わり帰ろうとした時だった。
「今夜、空いてたら花火見に行かないか?」
急な誘いだった。
この日千寿朗は友達と花火を見に行くといっており一人で見に行く予定にしていたので二つ返事で承諾した。
西の刻、待ち合わせした柳の木の下には、
いつもと違う装いに髪をおろし化粧をしていない宇髄が立っていた。
「いつもと違うから一瞬宇髄とわからなかった」
「あーっ、任務じゃない日は髪下しているから」
笑って話す姿をみて、初めて見る宇髄の姿にいつもと違う感情が起こった
こんなにもうつくしい男性がこの世にいるのか‥‥歌舞伎役者みたいに綺麗だ‥‥
花火が始まった。
夜空に大輪の花火が浮かぶと同時に宇髄の顔も花火色に染まっていた。
花火を見るまっすぐな瞳に、表情に、花火が上がる度に鼓動が高鳴った。
花火も終わり帰る時
俺はとっさに宇髄の手を握り物陰に隠れた。
「なッ⁉ いきなりどうした? 」
びっくりした表情でまじまじと見てくる顔が美しく、いつまでたってもおさまらない鼓動が宇髄の耳に届きそうで怖かった
隠れた物陰の横を楽しそうに会話する二人が通った
「ん? 伊黒と甘露寺じゃねーか? 」
二人に話しかけようとする宇髄の手をさらに強く握った
「煉獄‥‥‥? 」
カシャン‥‥‥
恋の歯車が動き出した瞬間だった