巡り会えたから鬼のいない世界に生まれ変わった。
無限城での甘露寺との約束を思い出した日から、
甘露寺を探しているが見つからない。
そんな日が数年続いたある日、
食べる事が好きだった甘露寺が
お客として来てくれればと
淡い期待を胸に、
海が見える砂浜の近くてカフェを経営することにした。
夏になれば、海の家みたいな感覚で、若者が集い、
いつしかローカル番組でお店が紹介されるぐらい
有名店になった。
お店を出して、5年が過ぎたある日、
この日は朝から大雨が降り、高速で事故が相次いでいた。
渋滞で予約していたお客様が何組遅れると言う連絡が入った。
予約最後のお客様を待っていると笑い声と共にお店の扉が開いた。
「ここが美味しいって噂のお店?」
「そうよー、食事だけじゃなくて、オーナーもクールでネチネチネチ加減が絶妙で人気なのよ」
「うふっ、楽しみー💖」
「事故で渋滞に巻き込まれちゃった。オーナー遅くなってごめんなさい。あら、こんな大雨でも満員なのね」
いつも県外からくる常連客だった。
一人は常連客、あと二人は、同じくらいの年だから友達かな。。。
「いらっしゃい、お待ちしてました。今日は大雨であちこち渋滞してるとニュースでしてました。大変でしたね、どうぞこちらへ。。」
俺は、席へ案内し、椅子を引いた。
「ありがとうございます。うふっ💖」
椅子に座り、笑ってる女性と目があった。目の下に黒子があり、鈴を転がすように笑っていた。
一目見て甘露寺と気づいた。
俺の方を見て、甘露寺も一瞬止まったのを見逃さなかった。
「ここの店の食べ放題、みつりの好きな物ばかりで、好きな桜餅あるのよ」
「ほんとに、嬉しいー。ありがとう。今日、ここにこれてよかった💖」
見ると甘露寺は涙ぐんていた。
慌ただしくアルバイトと料理を運ぶ俺を捕まれて
甘露寺が話しかけてきた
「オーナー、こんな美味しいパスタやピラフ食べた事ない。幸せ💖💖桜餅も美味しいからもう1つ食べたい(*^^*)」
「ねっ?美味しいでしょ、全部オーナーが作ってるのよ(*^^*)」
「ほんとに✨✨嬉しい💖💖」
嬉しかった。
あの日も、美味しそうに沢山食べる姿を見て幸せだった。
生まれ変わっても甘露寺は
何1つ変わってなかった。
「桜餅、作ってきます」
ドキドキがずっと止まらなかった。
会いたかった
幸せにしたかった
甘露寺がすぐそばにいる。。。
食事も終盤をむかえた頃、
廊下で甘露寺と出くわした。
じっと俺の方見つめ、顔を赤らめていた。
「もしかして、い、伊黒さん?」
「。。。甘露寺。元気だったか?」
「うわぁぁぁん、伊黒さんずっと会いたかったよ。」
泣きじゃくる甘露寺を抱き締めた。
「俺も、ずっと会いたかった。。。」
俺は泣くじゃくる甘露寺の涙を拭った。
ポケットに入ってた紙に、
連絡先とLINEをメモして甘露寺に渡した。
「今は忙しいから、夜に連絡してほしい」
「嬉しい、ありがとう💖夜連絡するね」
その夜、甘露寺から連絡が入り、
すぐ会うことにした。
日にちがかわり、6月1日になっていた。
甘露寺に出会って初めての誕生日に渡そうと思って準備したプレゼントを持って、
甘露寺の待つ町へと向かった。
星空が綺麗な夜で、
向かっている途中、
流れ星が流れた。
俺は流れ星が消える前に3回願い事を唱えた。
甘露寺と待ち合わ場所へ到着し、
一緒に見上げた星空が
前世で見た星空と変わらなかった。
「伊黒さん、星空綺麗ね」
今夜は少し肌寒かった。
俺は羽織ってきたジャケットを脱ぎ甘露寺にかけた。
「伊黒さん寒くない?」
「こうして寄り添ったら寒くないよ。」
上着をとり、俺にかけてから、
甘露寺の背中から抱き締めた。
「暖かい。伊黒さんも私もちゃんと生きてる。。。」
あの日、鬼のいる世界で戦い、
お互い相思相愛だったのに
想いも伝えられなかった。。。
俺の背負ってきた過去があったから
伝える事ができなかった。
今は違う、一度死んで、綺麗な体になった。
鬼もいない世界になった。。。
「甘露寺。。。」
キスをしようとした時だった。
「伊黒さんと出会えて うぁぁぁん、嬉しいよ。伊黒さんの作ったご飯食べて一番美味しかったの。
あの日と同じ、凄く優しい目で私の事みてれた。生まれ変わっても伊黒さん、何1つ変わってなかった。゚(゚´Д`゚)゚。」
強く抱き締めた。
もう、離したくなかった
「伊黒さん、お願い、私の事お嫁さんにしてくれる?」
突然のプロポーズだった。
答えはもう決めていた
「もちろんだ。君が俺で言いと言ってくれるなら、絶対に幸せにする。今度こそ死なせない、必ず守る」
ジャケットのポケットから、この日の為に準備したプレゼントを渡した。
「甘露寺、受け取ってくれ。あの時の分まで幸せになろう」
プレゼントを開けて、甘露寺が泣き抱きついてきた
「伊黒さん、ありがとう。嬉しい、絶対幸せになろうね💖💖」
キスを沢山して、お互いの話をした。
朝まで話が尽きる事はなかった。
この日以来、甘露寺は、ことある事に俺のところに来て、何時しかお店を手伝うようになった。
底抜けに明るく鈴のように笑う甘露寺は、いつしか看板娘になり、甘露寺目当てのお客も増えた。
甘露寺と出会って約3ヶ月後の
9月15日
俺達は結婚した。
夫婦になり、
毎日幸せだった。
休みの日は、お互いに料理を作り一緒に食べてた。
毎日、寝る前に必ず甘露寺は
「私、幸せよ💖」
と言い、俺に抱きついてキスをしてきた。
髪を触り、キスをし返して強く抱き締めて眠りにつく幸せな時間。。。
月日が流れ、
子供も授かり、慌ただしく生活する中でも、
幸せを噛み締めていた。
甘露寺
生まれ変わっも、何1つ変わらない君に出会えてよかった。
俺を選んでくれてありがとう。
一生守り、大切にする。
幸せにすると誓うよ。