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    pimankoubo

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    pimankoubo

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    ワンドロ
    音楽、音お借りしました

    #キバダン
    #キバダンワンドロ

    君の心音の終わりまで君の心音の終わりまで

     生を紡ぐ君の音。
    姿が変わろうと、どれだけ歳を重ねようと変わらない、揺らがない君の生の証明。
     君の胸に耳を当てて瞳を閉じれば今日も君の音と体温が優しく俺を包んだ。

     「しってる?人の命が終るとき、最後まで残る感覚は聴覚らしいよ」

     そんな声が聞こえた気がして瞳を開ければ、少し開いた扉の向こうからキバナがキッチンで遅い朝食を作る音が聞こえてきた。
    「…………ゆめか」
     ふわりと鼻をくすぐる紅茶と、スコーンの薫り。
    昼間の温い布団の中で目を擦りながらくわりとあくびを一つ。
     もぞもぞとシーツの中に潜り込み再び瞳を閉じたら、今度はトク…トク…と自分の心音が耳の奥に響いた。
    トク…トク…
    穏やかな、それでいて規則正しい俺の音。
    俺の命の音。
    心臓が血を身体に巡らせ、俺の生を紡ぐ音。
     人の命が終るとき、最後まで残る感覚が聴覚なら、残された人が一番最初に忘れてしまうのはなんなのだろう?
    ベッドの上の暗闇の中で身体を小さく丸めて微睡みながらそんなことを考える。
    トク…トク…
    規則正しく、俺の音が続いていく。
    「キバナの音はどんな音なんだろう」
     俺の音と同じように規則正しく、命を紡いでいるのだろうか?
     身体が大きい分俺よりも力強い音をしているかもしれない。
     俺より優しいから俺よりも優しい音をしているかもしれない。
     バトルの時はどうなるんだろう?
     俺みたいにバクンッバクンッと荒々しくなるんだろうか?
    パートナーと共に激しく、美しく、命を燃やしているんだろうか?

    ぽすり

     ダンデの思考を遮るようにベッドが軽くきしみシーツ越しにぽんぽんと身体を叩かれる。
    「ダーリン、タマゴみたいにまんまるになってどうしたの?」
     もぞもぞとシーツをかき分け、明かりのしたに顔を出せば優しく弛んだ碧が俺を見つめていた。
    「おはよ。俺様のマホイップちゃん」
    チュッと軽いリップ音と、柔らかい感触が額に触れ、優しく優しく頬をキバナの指先が撫でる。
    「シーツの中でなにしていたの?」
    「……音を聴いていたんだ」
    「音?」
    「うん」
    こくりと頷いて身体を起こしキバナに手を差し出せば少しだけ不思議そうな表情をしたあとそっと二人の手が重なった。
    「わっ」
    重なった手を引っ張り、胸に飛び付き押し倒せば、驚きに見開かれた碧が見えた。
    「びっくりしたぁ」
    「ははっ」
    「ははっ……じゃないのよ、俺様がダンデを受け止め損なったらどうするの?」
    「君が?あり得ないぜ」
     そう言って固い筋肉質な胸に頬をすりよせる。
    温かくて、大きくて、本の少し柔らかくて、大好きな匂いがして……
    「命の音がする…………」
    優しくて、力強くて、少し早いキバナの心音が聞こえる。
    そうか、君はこんな音なんだ。
    「なぁキバナ」
    「んー?」
    「人の命が終るとき、最後まで残る感覚が聴覚なら、残された人が一番最初に忘れてしまうのはなんなのだろう?」
    「なんなんだろうねぇ」
    「そっか……」
    「あとで調べる?」
    「うん」
     そう返事を返した俺にキバナはそれ以上なにも言わずに好きなようにさせてくれている。
    頬を更に強く押し当てキバナの音を聴くのに集中する。
    トクン…トクン……
    瞳を閉じて音だけに集中するとまるでキバナの音と、俺の音が重なって、融けて混じりあって一つになる。
    そんな気さえした。
    「ふふっ」
    「なぁに、どうしたの?今日はすっごい甘えん坊じゃん」
    優しく優しく頭を撫でられながら愛しくて、大好きな人が規則正しく生を紡いでいることが嬉しくてこらえきれなくなった笑みを溢し、ぎゅうっとキバナに抱きつけば、そんな言葉が降ってきてキバナもぎゅっと俺を抱き締め返してくれた。
    「キバナ」
    「なに?」
    「明日も、明後日も、ずっとずっと先も、こうやって君の音を聴かせてくれ」
     君の心音が止まる時まで、ずっとずっと一緒にいてくれ。
    君の最後の音を聴くのは俺が良い。
    俺だけが良い。
    俺の最後の音を聴いてくれるのも、キバナだけが良い。
    「なんかそれプロポーズみたいだな」
    「確かに」
     そう言って二人で笑って、少しだけ冷めたキバナ特製の朝食を二人で食べる。
    並んで片付けをしながら時折じゃれるようにキバナの背中に触れたり髪に触れたりいたずらをする。
    「こら、ダンデ」
    叱るように声を上げながらもその表情はどこまでも優しくて、調子に乗った俺はもぞもぞとキバナと、食器棚の間に潜り込む。
    「もー、ダンデお皿しまえないんだけど」
    「じゃあ、俺がしまってやろう」
    そう言ってキバナの持っていた皿を代わりに棚にしまいくるんと向き合った。
    にんまりと笑って少し上の碧をじぃっとみつめる。
    「なぁに?ダンデ。そんなに見つめられたら照れちゃうんだけど……」
    「キバナ」
     名前を呼んで両手を広げれば俺の要求を正しく理解したキバナは「ほんと、今日のダンデは甘えん坊でかわいいね」といいながら大きな身体で抱き締めてくれる。
    トクン…トクン……
     生を紡ぐ君の音。
    姿が変わろうと、どれだけ歳を重ねようと変わらない、揺らがないキバナの生の証明。
    トクン…トクン……
     規則正しい、キバナの音と体温に包まれて、幸せな気持ちのまま俺はそっと瞳を閉じた。
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