ライナスの毛布「シンジ、また背中すごい曲がり方してるぞ」
「もう無意識でこうなっちゃうんだよ・・・俺も治したいとは思ってるんだけど」
「前に矯正用のベルトみたいなの買ってなかったか?」
「あれ、あんまり長い時間つけてちゃいけないんだけど、つい外すの忘れて身体痛めてさ・・・。苦手になっちゃった」
「あと尻に敷くクッションもあったよな?」
「最初いいとは思ったんだけど、どうしても慣れなくてそれも使わなくなった」
「・・・ガムテープで身体と椅子固定するか」
「あれやってるとなんかトイレの頻度あがるんだよね・・・。動けないと思うとむしろ行きたくなるみたいな」
「どうなってるんだよ・・・。とにかくなんとかしないと」
「うぅ・・・わかってはいるんだけど・・・」
※※※
「・・・ってわけなんですよね」
「小サイ頃カラノ癖ハ、習慣ヅイテシマッテタラ、治ソウト思ッテモ難シイデショウ」
「高校の時点でもう猫背でしたけど、あの頃にもっと治すように言えば良かったか・・・。クラさんはかなり姿勢いいですよね」
「厳シク言ワレテ育チマシタ。ソレニ、ドウドウト胸ヲ張ッテナケレバ、悪魔ニ舐メラレルト」
「ハハッ!確かに背中曲がってるといくら強い退治人でも頼りなく見られるかも」
「・・・三木さんのご友人にとっていい方法かわかりませんが、案があるんですが・・・」
「本当ですか?!教えてください」
「・・・あの、これは僕の会社で事務の方が使ってるのを見かけたんですけど・・・」
「!? こ、これは・・・」
※※※
「お前の猫背を矯正できるかもしれないものを手に入れたぞ」
「えっ!?急にどうしたの?」
「これだ」
「・・・クッション?腕ついてて顔描かれてる・・・」
「パソコンとかのデスクワークで、自分と机の間に挟めて使うと姿勢がよくなるらしい」
「どれどれ・・・お、なんかお腹あったかいし背中曲がらない気がする・・・」
「腕の部分はアームクッションになるそうだが、邪魔になるときは机の上に出さないか、逆向きに使って自分の身体にまわすようにしたらいい」
「・・・おお!なるほどね。しばらく使ってみるよ。ありがとうミッキー!」
「ああ」
「(これで治せればいいが・・・)」
※※※
「センセどしたん?そのお腹のやつ」
「ミッキーがくれたんです!かわいくないですか?」
「・・・いいセンスしてるわ。カンガルーみたいで」
「・・・褒めてます?」
「褒めてる褒めてる」
※※※
「まだ終わり見えない・・・こんなに描いてるのに・・・」
「一旦休憩して飯にするか」
「そうしよう・・・ハァ・・・」
「・・・お前それ抱えたまま食うのか?」
「ん?ああ、なんかずっとこうしてると、ないと落ち着かなくなっちゃったかも」
「そこまでか?」
「いつのまにかだいぶ愛着湧いてる気がする」
「・・・それ持ってコンビニ行こうとするなよ」
「・・・外でる直前に気づいたからセーフセーフ」
「嘘だろ・・・?」
※※※
「なんとかBBQ回避できたね・・・」
「・・・ああ」
「今なら一瞬で意識飛ぶ気がする・・・じゃあ寝ようか」
「・・・・・・」
「・・・ん、ミッキー?」
「・・・・・・」
「(えっ!ミッキーが俺のお腹のところに抱きついてきてる)」
「(・・・あのクッションみたいになってるな。お腹ぽかぽかする)」
「(ん?もしかしてミッキー・・・いや、流石にないか)」
「(・・・あのクッションに嫉妬なんて、まさかするわけない・・・よね)」
※※※
「最近椅子に留守番させてるな、あいつ」
「・・・机に向かってる時に仕事してもらうようにした」
「まあそれが本来の用途だしな」
「ミッキーもたまには使ってみてもいいよ?むしろ使ってるところみたい」
「俺には必要ないからいい。なんでそんなに使わせたがるんだよ」
「・・・写真撮りたいから」
「・・・やめろ」
おまけ
「おい、お前の描いてるこれがもっと売れたら、丸の形のそれが作られたりするのか?」
「・・・可能性は微粒子レベルで存在するかもしれない・・・?」
「・・・さっさと描け、丸が売れるようにしろ」
「・・・クワさんに相談しとくよ」