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    shili_41

    @shili_41

    こんにちは、肆(しぃ)です。
    好きな時に好きな物をぽいぽいしてます。
    はちゃめちゃに固定厨。BSDにお熱❣️
    推しカプさん【福乱/鐵条/綾村/鴎エリ/ブラ文/芥敦/桜燁】等…
    書くのは福乱ばっかりです。

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    shili_41

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    勿体ない精神で投げる途中で終わってしまった福乱。
    時期はきっと12月なので4022ぐらい。
    親友からの炬燵でほのぼのって指定だったはずなのに私が書くと謎にちょっぴり重くなるのは何故なのか。そうして力尽きてこのザマです💦

    #福乱
    happinessAndMisfortune

    炬燵で戯れ、させたかった 寒い日は嫌いだ。

     でも其れは乱歩に限ったことじゃなくて、誰しも極度の暑さや寒さが苦手だろう。若し其れを好む人間が居るのなら、此処に連れてきて欲しい。其の人間が如何に愚かで呑気な阿呆であるのかを説明してあげるから。僕なら相手に二度とそんな考えが出来ない様説き伏せる事も可能だろう。まあ実際に連れて来られても面倒なだけだし困るんだけど。

     誰に云うでも無く、乱歩が頭でそう考えるのには理由わけがあった。其れは乱歩がすこし不機嫌な事にも所以するけど、今の状況で此の話題を広げても何の意味も無い為、保留とする。

     只今、乱歩は蝸牛かたつむりになっている。
     蝸牛と云っても本当に軟体動物に成っている訳では無い。所謂、比喩表現だ。
     ぐでりと座布団を枕替わりにうつ伏せに寝転がり、殻は大きな炬燵できている。
     つまりは顔だけ出した状態で炬燵に潜り込んでいるのだ。

     畳が痛まないよう下に敷いている専用布団は、木綿の触り心地が好く乱歩のお気に入りだ。休日等自宅でゆっくりする時、福沢さんが着用する木綿着物と感触が似ているのだ。仮令たとえ乱歩がひとりきりであろうと、抱き着いた時に感じる気持ちを思い出すことが出来る。


     そう、ひとりきり。


     乱歩は今、ひとりで社長宅にいる。
     抱えた職務が在った社長を置いて先に帰ってきたからだ。特段珍しくも無い筈の事が今日はやけに腹が立つ。
     午前に外で仕事があった為、平時より予定が押していた事は判っていた。其の外での務めが予定の時間より長引いた事も、其のせいで残って仕事を片付ける羽目に成っている事も。
     何時もなら我慢出来る唯の事実が乱歩の心を不快にさせていた。


    「それもこれも全部今日が寒いから悪い」


     寒くさえ無ければこんな気持ちには成らなかったし、此れから云う言葉だって云わずに済んだ。例え何時か云わなければならない言葉だとしても。

     乱歩の独り言がぽつりと静かな居間に響いた。其の余韻が無くなり、しんと凪いだ音が広がるより前に扉の開く控えめな音が玄関口から聞こえた。


    「只今戻った」


     足音が聞こえない福沢さんの移動にも慣れたものだ。土間玄関から居間迄の距離と福沢さんの歩く速度、何度も見てきた経験からどのくらいで乱歩の元へ到達するかは判っている。


    「おかえり」


     予想通りの登場と言葉に、座布団から顔を上げ福沢さんの方を見る。其方も寝転がる乱歩を見ていた為、二人の視線が絡んだ。
     此れも予想通り。
     福沢さんの癖の様なものだ。乱歩と離れた後はこうして必ず何処かに異常が無いかを確認する。そうして、異常が無いと判断すれば何時もの表情の儘ほっとする。其の様子も何時もと変わら無い様に見えた。


    「乱歩、炬燵で寝るなとあれ程云っているだろう」

    「眠ってはないから無いものとして考えてくれていいよ」

    「……そう云った問題では無い」


     安心すれば直ぐに小言を飛ばしてくるのだから相変わらず忙しない人だ。僕にそんな事を云われた日には、「心外だ」「お前に云われたくない」と文句を云い拗ねるだろうから口にはしないけど。


    「僕は今蝸牛だから関係ないの!」

    「蝸牛……?」


     訳が判らない、と眉間に微かに皺を寄せる姿に悪かった気分が少しだけ良くなる。


    「そう、蝸牛。僕が本体で炬燵が殻なのね。僕と炬燵は一心同体だから、離れることが出来ないんだ!」

    「…………」


     あ、また訳の判らない事を……。って顔してる。判り辛いけどずっと傍に居る僕なら判る。けど、今日の僕は譲る気が無いから!


    「勿論、他の人が入ってくるのも駄目。僕らは一心同体で此の炬燵は既に僕と云っても過言じゃ無い! 判ると思うけど、蝸牛の殻には一匹しか入れないんだから、福沢さんが入る事は出来ないよ! 残念だけど、今日は僕だけの炬燵だ!」

    「……………………」


     此れでも少し怒ってるんだからな。

     そう思って話していると、不意に無言を貫いていた福沢さんの表情に僅かな変化が現れた。
     あっと思った時には既に遅く、強行突破して乱歩が入っている隣から炬燵に侵入しようと足を入れてくる。
     

    「やめてっ! 駄目だって云ってるでしょ!」


     僕は必死になって炬燵内から足を使って福沢さんの侵入を防ぐけど、実力行使に出たあの人に力で勝てる訳がない。此の儘では負けてしまう。


    「やだぁ! 福沢さんの助平! 無理矢理僕の中に入って来ないでッ!」

    「……ッ?!」


     突然の言葉に大きな衝撃を受けたのだろう福沢さんは、乱歩の目論見通り動きを止める。其れはもう冷凍庫で凍らせたのでは無いかと感じるぐらいがちがちに。


    「………………人聞きの悪い事を云うな……」


     だけど止まっていたのもほんの一瞬で、直ぐ話せるくらいに回復する。吃驚はしたが其の程度らしい。まあ、僕と福沢さんの関係や普段の行為を鑑みればそうだろう。


    「人聞きって……此処には僕らしか居ないんだから善いんじゃない?」

    「…………其れでもだが」

    「素直にドキッっとしたって云えば善いのにね」


     憎まれ口を叩く乱歩を咎める様に名前を呼ぶ福沢さんは、其の実先程から一度も炬燵に触れようとしない。
     此れは内心、未だ動揺してるな?


    「……何を怒っている?」


     「お前を見た時から思ったが……」と、話す姿勢にきちんと乱歩の変化に気付いていたのだと心が浮き立つ。僕の事を確り見てくれる所は好きだよ。


    「……福沢さんは理由、判らないだろうね」

    「だが私が原因なのだろう。其れくらいは判る」


     寝転がる僕の側に立っていた福沢さんが、そう云い乍らしゃがんで目線を合わせようとする。そう云う誠実な所も好き。


    「そうだね、福沢さんは何だと思う?」


     しゃがんでも尚、僕を見下ろす形になる福沢さんを見上げるように顔を上げてじっと其方を見詰めた。


    「…………」


     質問を質問で返す狡い言葉に無言で抗議される。
     抑も、判る訳が無いと云っておいて其の言葉は自分でもどうかと思う。だけど此のくらいは許して欲しい。
     福沢さんが口を開く迄僕も開かない、と口を結びじっと見詰めた儘で時間が少し経つ。


    「…………私では検討がつかない。教えてくれ」


     先に折れたのは福沢さんの方だった。
     内容は甘えたものだったけど、乱歩はその甘えも好きであった為、特に気にしない。本当は自分で気付かなければいけない事も判っていた。だけど今後二人が離れる事も無い為、此れで善いのだと卑怯な感情が顔を出す。


    「……今日、寒かったよね?」


     突然、気温の話になった事に訝しがり乍らも頷きが帰ってくる。僕の話に脈略が無くなる事が多々あるのは判っているだろうから気にしない事にしたのだろう。


    「……昨日より大幅に気温が下がった様だな。例年と比べても異例の寒さだと」


     嗚呼、通りで寒い訳だ。
     天気予報で見た情報を口にする福沢さんの言葉にそんな感想が生まれる。寒い事を見越して今日は外での仕事に一切手を出さなかった訳だけど正解だった様だ。
     流石は僕!

     そんな事は置いておいて……。


    「僕は外に出ることは無かったけど、社長は外にいたんでしょう?」

    「そうだが……」


     福沢さんは頷いたけど何だ其れが如何した、と云う表情をしていた。そんな事は一日社内にいた乱歩なら知っている事だし、態々本人に聞くことでも無い、と。無駄を嫌う乱歩には珍しい行動に疑念が拭えない様だ。


    「…………今日、寒かった?」

    「……乱歩?」


     再度同じ質問を繰り返す僕に、福沢さんは怪訝な反応を見せた。困惑と云っても善いかもしれない。
     まあ普段しない事をしているんだからそう云う反応にもなるんだろうな。普段の僕なら今頃、勝手に福沢さんの心情を察して勝手に返事をしている頃だ。今だって答えは判りきってる。
     でも、いい加減僕の云いたい事に気付いてくれても善いよね。


    「外に居たなら寒かったね?」

    「……我慢出来ない程では無い」


     つまり寒かったんだろッ! 我慢しなきゃいけないくらいには寒かったって事だ!

     どうして此の人は「寒い」の一言が云えないんだよ!

     そう、乱歩は福沢の彼自身に発揮される忍耐力に怒っていたのだ。
     元々福沢さんの自分を疎かにする癖を何とかしたいと何時も考えていた。他者を優先し自分を後回しにする等莫迦のやる事だ。時に其れは人々の目に美点となって映るだろう。実際、そこが福沢さんの善い所でもあり僕も嫌いでは無かった。
     だけど————。


    「……福沢さんのそう云う所は嫌いだよ」

    「…………っ」


     先程と同じ様に、まるでかちんと石の様に動かなくなった福沢に言葉を続ける。


    「どうして我慢するの? 寒いって唯一言云うだけだ。こんなの子供でも出来る。ちゃんと寒ければ寒いって弱音ぐらい吐きなよ」

    「……っ、其の様な事で——」

    「——そんな事、って! そんな事すら云えないんだよ。社員にも僕にだって……! 弱音も吐かずに一人で全部背負う積もり?」


     僕の言葉に衝撃を受けたのだろう、目を丸くして福沢さんは此方を見た。


    「今後もっと大きな事を我慢して、福沢さんが全て抱えたまま沈んじゃったらどうしよう。僕が気付かないうちに二度と帰ってこなかったら? そう考えてしまう僕の気持ちも考えてよっ!」


     目頭が熱くて視界がぼんやりとしていくのもそのままに福沢さんを睨みながら心の内を吐露する。今不意に思い付いた考えでは無い。ずっとずっと漠然と心の中に在った想いだ。

     探偵双人なんて呼ばれていた頃もあったのに、福沢さんが全てを背負うなんてこれじゃあ双人じゃない。対等じゃない。そんなのは嫌だった。
     でも僕はあの頃まだ何も出来ない子供で福沢さんの庇護無しには生きていけなかった。対等な相棒であると同時に、保護されるべき子供の枠から抜け出すことは出来なかった。
     しかし、今は違うだろう。


    「ねぇ、小さなことで善い。僕に背負わせて。僕に甘えて。僕が頼られてるって胸を張れるようにして。寒いと零すことは弱いことにも、隙を見せたことにもならないよ」





    ……力尽きました🫠







    阿呆だなんだと他者に文句言ってるのは珍しく外で仕事するざわさんが寒いの我慢してる見て自分を疎かにするところが嫌いだってちょっと拗ねてるから。
    だから炬燵にも入れてあげない。
    ちゃんと寒ければ云って甘えて。


    …ならばお前(炬燵)で暖をとってもいいか?

    んふふ……いいよ。




    って話をね、書きたかったんですよ……。
    ぶつ切り話を読んでいただきありがとうございました!
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    Replies from the creator

    shili_41

    DONE誰も待ってないとは思うけど、マジで遅くなってしまって今更過ぎるし、申し訳なさすぎるしのオンパレードぽ誕最終回(福乱)
    終わらせない小説ほど嫌いなものは無いので自身を叱咤して書いたら長くなるわ長くなるわ……。
    死ぬほど忙しい仕事と体調不良とかを経てちょくちょく書いてたんですけどめちゃくちゃ楽しかったです。これだけが日々の癒し……。
    ぽぽ誕2023【夜】 福沢は探偵社にて社員総出で祝われ満足そうに笑って送り出された乱歩と共に帰路につく。


    「……満足か?」

    「まあね〜〜〜〜!!」

    「そうか……」


     浮ついた気持ちを隠そうとせず前を軽快に歩く乱歩の姿を見て福沢はほっとした。今朝の言葉を到底聞き流す事等出来ないが、今は幸福な乱歩を見ていたい。何と云っても今日は乱歩の誕生日なのだから。


    「それでさあ与謝野さんは相変わらず料理が上手でね、作って貰った林檎パイはそれはもう美味しかったんだあ! 与謝野さんをお嫁さんに出来る人は幸せだねえ〜。でも、そんじょそこらの男じゃ絶対駄目! だよねっ社長!」


     福沢の心中を気にしない乱歩は、隣で座右の銘に相応しい喋りを披露している。其れに関しては何時も通りなので、さして気に留めず。然し、何時しか福沢は此れが無いと、物寂しささえ感じる身体になっていたのだ。
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    REHABILI※デキてない
    ※33×14か15くらい

    もしかして日本刀の知見いる?と思って調べて書いたやつです。チャイが好きなのでクローブも好きです。
    福沢さん、乱歩さんと出会ったあとは普通に刀持ててるのが気になってたので消化できてよかったです。
    ジンジャーマンの記憶 福沢が帰宅後の片付けをしていると、乱歩がふらりと寄ってきた。
     手にはクッキーを持ったまま、口角には食べかすまで付いていた。手は洗ったのか、と問うが返事がない。食べるなら座って食べろ、と続けると、これも乱歩は返事をせず、福沢の胸元に顔を寄せてきた。なんなんだ、と思ったら匂いを嗅がれていた。福沢の胸から襟に沿って、すんすんと熱心に鼻を鳴らしている。
     やめなさい、と言って止める子ではないが一応言った。他所でやったら揉め事になる。言って止める子ではなくとも。
    「このクッキー、福沢さんと同じ匂いがする」
     ようやく言葉を発した乱歩が、左手に持ったままだった焼き菓子を福沢の目の前に差し出した。ひとくち分齧られた簡素なひとがたの焼き菓子が、意思をもって福沢の口元に向けられる。乱歩を妙に気に入った様子の今日の依頼人(御年配の御婦人だった)に謝礼のついでに貰っていた菓子缶のものだろう。洋菓子特有の牛酪のに加え、かすかに洋風の香辛料の香りがした。福沢は少し迷ってから、差し出されたそれを齧った。薄い見た目より硬めのそれをざくざくと咀嚼すると確かに覚えのある匂いがした。ニッキの匂いに紛れる匂いの記憶から引っ張り出す。
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