「んっふふ、かったぁい。」
押し上げられたスウェットの先端をツンとつつく。
ロナルド君は奇声を発しながら腰を引きつつも華麗に私に拳を叩き込んだ。
「酷いじゃないか。君が持て余してるソレを何とかしてやろうというのに。」
崩れ落ちた体を再生させ、真っ赤に染まった顔をじと、と見つめる。
ロナルド君は視線を逸らし、Tシャツの裾を引っ張った。
「…自分でする。」
そう言って風呂場へ向かおうとしたのを後ろから抱きとめる。
「…ふぅん?」
と耳元で囁いて、ちゅ、と耳朶にキスをする。
「私じゃダメなのかね?」
そう問いかければ、抱きしめた手にぽたりと温かいものが落ちた。
「…ロナルド君?」
それが涙である事にすぐに気付き、抱きしめていた腕をほどき、ロナルド君の前に回り込み、ぽたぽたと止めどなくこぼれ落ちる涙を指先で拭った。
「どうした?」
揶揄うような口調は止め、声のトーンを下げる。
落ち着かせるように頬を撫でた。
「…ロナルド君?」
「テメェのせいだ。」
「うん?」
「じっ、自分で。」
「うん。」
「…出来ねぇ。」
「うん?」
ロナルド君の瞳からまた涙が溢れる。
「落ち着け。ちゃんと話せ。」
ロナルド君は頬を撫でる私の手に擦り寄るように少し首を傾けて、小さな声で呟いた。
「お前のがいい。」
「ん?ああ、私がするほうがいいんだな?ほら出せ。」
「違う。」
「何が。」
「お前の、が、いい。」
お前の方が、かと思った。
だが違った。
お前のが、と、確かにそう言った、
言葉の真意に心臓が跳ねた。
「クッソ、お前責任取れよ…!」
私の手を掴んで言い放ったその言葉に口元が緩む。
「責任を取らせてくれるのかね?」
「は?当たり前だろ!」
君は気づいていないのだろう。
自らが放った言葉の意味を。
「取ってやるとも。」
それってつまり、ずっと一緒にいろって事に他ならないだろう!
「一生をかけてね。」
押し付けた体に当たる熱と質感。
私を求めて、こんな風になってるなんて思うと。
「え…?お前、固…?何で…?」
「持て余してるなんて言ってごめん。んっふふ、私もね、したくなっちゃった。予備室行こう?」
可愛い恋人の手を引いて、予備室のドアをくぐる。
ドアを閉めたら二人きり。
一生をかけて君を愛する。
そう言った私の真意に君が気づいていなくとも。
この腕の中に収まるこの温もりを、離してやる気などサラサラないということを、君に教えてあげなくてはね。