寝れない夜「深津サン起きてる?」
遠慮がちにこんこんと音が響き、返事をする間も無く扉が開かれる。
扉の隙間からひょこりと覗いているのは見慣れた緩いくせ毛で、おいでと手招きをすると目をきらつかせて、おずおずと部屋へ入ってきた。
「どうしたピョン」
ベッドサイドに座らせ、少し低い位置にある柔髪をぽふぽふと叩くと、もっとしてと目を細めて気持ちよさそうに擦り付く。
「寝るとこだった?」
「別に、気にしなくて良いピョン」
「…そっか、アリガト」
拗ねたような口調で唇を尖らせそっぽを向くくせに、当たり前のようにぴったりと肩口に寄り添う。そんな相反した仕草のリョータが可愛くて、胸がきゅうと締め付けられて仕方ない。
「明日は一日、俺に付き合ってもらうピョン」
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