Paradigm Shift * * * *
「ねえ茨、まだ寝るんですかぁ?」
額にツンツンという感触を感じて目が覚めた。
ブラインドの細い隙間からこぼれる朝の光を背に、金の大きな双眸が茨を捉えている。もう一度目を閉じると、どうしようもなく大きな欠伸があふれた。
「……何時ですか」
「あ、起きましたね。朝の七時です。ブラインド開けますよぉ」
言うか言わないかの間に、眩しい光が寝室に差し込んでくる。
ジュンはTシャツに短パンのラフな姿で、すでに出かける準備を済ませていた。
「朝ラン行こうって約束したでしょう。忘れてました?」
眼鏡を掛け、見慣れた景色が視覚に入ると、脳は倍速で覚醒を始める。
「ええ、忘れてませんよ。ですが、家を出るまでにはもう少し時間があるでしょう。十分間に合います、大丈夫です」
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