Recent Search

    らに🌷

    @wflowss

    @wflowss

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 🍓 🐍 🌊 🌹
    POIPOI 27

    らに🌷

    DONEジュン茨♀ずい、と目の前に差し出されたフォークの先には、真っ赤ないちごの果実がひとつ。それは確かにオレの好物だし、できることなら食べたいけれど。
    「ジュン〜、はい、どうぞ♡」
    「いや、何企んでんすか茨……」
     その持ち手が茨の手にある以上、簡単に「いただきます」というわけにもいかない。
    「これは心外! 恋人に好物を食べさせてあげたいという可愛らしい乙女心を、企んでいるだなんて!」
    「可愛らしいって……あんたが自分で言うとますます怪しいんすよぉ」
     企んでるんじゃなきゃ、酔っ払っているとしか思えない。未成年アイドルとして、そんなスキャンダルはいくらなんでもやめてほしい。というか茨がそんなことをするはずはなくて、だからこれは何かを企んでいるのだ。
     そもそもきょうは最初から様子がおかしい。打ち合わせだと言って呼び出したくせに対面でなく隣に座り、特に仕事を始めることもなく、急にいちごを出してきた。「良いいちごが手に入ったんですよね!」って、何目線の台詞なんだ。良いいちごの目利きができるんですかねぇ。それともすげぇ高級品?
     つぅか近い。いくら付き合っていても、普段はそんな距離感じゃないから怪しんでしま 2433

    らに🌷

    DONEバレンタイン前日にちゅーするふたりだよチョコレートが好物である凪砂からバレンタインチョコを所望されたのは想定内。ついでにそばにいた日和までが欲しがったのも、想定外とまでは言わない。日和があれこれ喧しく騒いでいる横でジュンが黙っていたのだって、茨にとっては想定内だったから、どうせ後で何かしら言ってくるだろうとは思っていたし。
    「あの、茨」
     それまで黙って本を読んでいたジュンが急に声を出したので、茨は画面から視線を外して顔を上げた。仕事中だと分かっていて声を掛けてくるのは珍しいから。
     それなのに、ジュンはこちらを見てもいなかった。視線は本に落としたまま、それでも茨が仕事を中断したことには気付いたんだろう、一瞬、躊躇うように息を吸った。
    「……や、ごめん、後にします」
    「……今どうぞ?」
    「うぅ〜……あ〜、え〜とですねぇ……」
     イラッとしなかったと言えば嘘になる。舌打ちをしなかったのは、ジュンがきちんと茨に向き直ったからだ。言いたいことがまとまっていないようだけれど、かといって今、このタイミングで「やっぱり後で聞きます」と言えば、それはそれで萎れそうな恋人。
    「おやおや、いつもの調子はどうしました?」
     仕方がないのでタブ 4046