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    nekononora

    94とFGO。書くのも読むのも雑食でいきます。逆、リバ、R、G、などなど書きたいように書き散らかします。
    設定がわからーん!

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    nekononora

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    「貴方を愛する事はない」の作業進歩3です。
    パーバソです。なろうファンタジーです。

    #パーバソ

    半年後、離縁予定の旦那様の様子がなにやらおかしいです -3-◆◆◆サラザールは執事として堂々と外にでる◆◆◆


     旦那様となったパーシヴァル・ド・ゲールは王都で任務があると、結婚の書類に記入した次の日には屋敷からいなくなっていた。
     バーソロミューは新婚早々放置されて嘆く、なんてはずはなく、執事服に身を包み、教えてもらった使用人の通用口から外にでた。
     ゲール卿屋敷は町から少しだけ離れた場所にあるのだが、少しだけ潮の香りがする。
     今からこの町で暮らすのだというそれだけで口元がニヤケそうになる。
     まだだ。
     この港町、ちらっと通った時は活気があり、治安も良さそうだったが、見てくれだけ良いだけかもしれない。
     しっかりと見極めなくては。
     バーソロミューは物陰で執事服から簡素な服に着替える。
     そして町に向かい、行き交う人々や店を観察して町の様子を伺う。
     そんな事を三日続けて、バーソロミューの親が納めていた領よりは格段に治安がいいと確信する。
     少々喧嘩っ早い気質はあるものの、明るく情に厚い者が多い印象だ。
     ここで暮らしたい。
     この港町で。
     バーソロミューは四日目で決心し、夕暮れ時、疲れ切った表情を作ってある酒場に入る。
     海で仕事をしている者達が通う酒場。
     よろよろとカウンターに座れば、エールを頼む。
     すぐに木の杯に注がれて目の前に置かれたそれを手に取ると、半分ほど一気に飲み、生き返ったとばかりに長く深いため息をついた。
    「なんだい兄さん、不景気な面してるけど、なんかあったのかい?」
     声をかけてきたのはここのマスターだ。
     バーソロミューは、弱々しく笑う。
    「前の仕事がよくなくてね。悪事を強要されはしなかったが、給料をまともに払わないわ、、鳥が鳴く前から働かせて日が沈んでも働かせるわ、挙げ句の果てにコレでね」
     バーソロミューは右腕の前腕の包帯をマスターに見せる。
    「命の危機を感じて、辞めますと仕事場飛び出したのはいいが、町にいれば捕まって引きずり戻されそうだったんで、知人を頼りに治安がいいと噂のこの町まで逃げてきたってわけさ」
     ぐびぐびと残りのエールを飲み干す。
    「そういうわけで無職なんだ、何か働き口は知らないかい?」
    「ありがたい事に豊漁が続いたり、真珠の養殖も軌道にのりかけてるからね、どこも下働きを求めてはいるが……兄さん、身元を保証してくれる人はいるかい? その知人は?」
     バーソロミューは「本当の知人でね、当面の駄賃はめぐんでくれたが、という感じだよ」肩をすくめる。
    「なら紹介できる仕事は限られてくる。力仕事や雑用の体力勝負になると思うが、かまわないかい?」
    「もちろん! 給与をきちんと払ってくれるならね」
     バーソロミューがウィンクをすると、マスターは船着場での仕事を紹介してくれた。
    「あ、そういやアンタ、名前は?」
    「サラザール」
     淀む事なく、考えてきた偽名を答えた。

     それから二年半。
     真面目で機転が効く仕事ぶりから、あれよあれよと周囲の信頼を勝ち取っていったサラザール。
     特に船に乗る仕事が性に合い、船長と仲良くなり、ちょくちょく船に乗り仕事を教えてもらっていた。船長に副船長として誘われもしたが、勿体無いと思いつつも、長期間、屋敷を開けられないと全て断っていた。
     だがそれもあと半年。
     あと半年すれば、平民となりまとまった金が手に入る。
     この港町に家を買って、長期間の仕事で何日も船に乗ったりして暮らすのだ。
     楽しみだと思っていたそんなある日、釣り銭の金額から喧嘩に発展した店主と客の諍いを仲裁した時だ。
     人だかりの中に、二年半前に一度会っただけの旦那様を発見した。


    ◇◇◇パーシヴァル・ド・ゲール、妻の素顔を知る◇◇◇

     
     パーシヴァルはサラザールを連れ、屋敷まで帰る。
     その時には日がだいぶ傾いており、後一刻で日没を迎える時間となっていた。
     出迎えてくれた使用人達にトリスタンの部屋の準備を頼み、これから離れに行くと告げる。
     家令がともに来ようとしたが断り、トリスタンとサラザールの三人で向かった。
     離れは元々、昔、独り身の親族が長期滞在する際に、母屋は気を使うからと自分用に作らせたのだという。
     その親族は亡くなったのだが、病気にかかった住み込みの使用人の隔離であったり、子供の遊び場だったりと、意外に便利だと取り壊されず改修され残されていた。
     パーシヴァルも子供の頃、中に入り遊んだ事がある。
     二階建てで、一階部分は小さなキッチンとリビング、二階に二部屋という作りだったはずだ。暮らすには充分な広さであった。だが、それは母屋と比べなければの話だ。隣に何部屋もある屋敷があるのに、ここで暮らす気持ちは如何様だっただろうか。
     パーシヴァルは後悔を胸に離れに向かい、歩く。
     到着すると、深呼吸を二回してから、ドアをノックした。
    「私です。パーシヴァル・ド・ゲールです」
     返事はない。
     もう一度ノックする。
     やはり返事はない。
    「……サラザール」
     パーシヴァルはサラザールに尋ねる。
    「中に入っても怯えられはしないだろうか?」
     屋敷に帰るのならと執事服に着替えていたサラザールが、目線を逸らして何か考えた後、微笑んで鍵を取りだした。
    「鍵?」
     記憶では内側にかんぬきがあり、それで施錠していたはずだ。
    「付け替えさせてもらったよ。あ、家令には一応許可はもらっている」
     そういえば、暮らすのに必要な家具等があればと申し出て、要望によりいくつか揃えたという報告があった。その中にドアがあったか。
     なぜドアをとおもうが、なるほどとすぐに納得する。サラザールが戻ってきた時、主人の手間をかけさせず中に入る為か。
     パーシヴァルばサラザールから鍵を受け取ると、鍵穴にさして回す。
     カチャと小さく軽い金属音で鍵は開いた。
    「バーソロミュー、入りますよ?」
     声をかけてゆっくりとドアを開けるが、やはり返事はない。
     手前にソファーがあり、奥に小さなキッチンと机と椅子。家具は必要な物は揃っている感じか。
     そんな部屋に人の気配はない。
    「サラザール、バーソロミューはいつも二階に?」
     パーシヴァルの問いかけに、サラザールは薄く微笑んだ。
     トリスタンが珍しく目を開き、二階がある天井を見つめている。
    「……パーシヴァル、二階にも人の気配が感じられません」
     トリスタンは耳が良く、人の気配を感じるのが上手い。
     気配を消していたら別だが、まともに教育すら受けていない人間がそれをできるのか。
    「……サラザール、バーソロミューはどこに?」
     パーシヴァルが固い声で聞けば、サラザールは肩をすくめ、「流石に限界かぁ」と呟いた。
    「ちょっと待っててくれ」
     と、二階に上がって、下りてくる時には腕に布をたくさん持っていた。
    「えぇーと、久しぶりすぎて、まぁいいか適当で」
     サラザールは布を適当に羽織り、最後にバサッと頭にカツラを被った。
     顔だけでなく腰までも覆う傷んだ髪。いつ櫛でとかしたのかも不明な髪。絡まっており、櫛がとおりはしないだろう。
     体型すら分からなくなるほど傷んだ布を着込んでおり、それは二年半前、確かにパーシヴァルと対面したバーソロミューだった。
    「そォ、れ……で?」
     サラザールだった男性は、音の高さが一つ一つ違う、耳障りな声で話しだす。
    「つゥま、の、かぉモわから、ず、にィ年、ハン、放置した 、だん、なさま、が、ナンの、ゴようでショウ、か?」


    ◆◆◆バーソロミュー・ロバーツ4歳から25歳を語る◆◆◆


     四歳で自分が置かれている状況に気がつき、ともかく食が必要だと母屋に忍び込んだ。
     そして台所から沢山ある芋などを少し盗みだした。あの親に雇われているぐらいなので雑なのか、それとも少なくなったと気づいても報告するのが面倒だと放置されたのか、バーソロミューが定期的に盗んでも問題になった様子はなかった。それに小屋の側で食べられる草を育てたりと、当面の食料の問題は解決した。
     だが、いつまでもこの生活が続けられるとは思わない。
     いつか盗んでいる事がバレるかもしれないし、屋敷に忍び込んでいるのを見つかるかもしれない。なにより大きくなれば今よりも食料が必要になる。
     別の方法が何か必要だ。
     だからちょっと屋敷の外に出てみた。
     身内に助けを求められないのもあったが、小屋から出て屋敷へと世界を広げ、今度は屋敷から外へと世界を広げようと考えて。
     屋敷の塀に子供なら通れる隙間をこっそり作り、そこから定期的に抜け出した。
     いきなり誰かに話しかけるなんて事はしない。
     一ヶ月は外の世界を観察した。
     そしてわりと外もクソだな、という結論に至った。
     その日のパンにもありつけない人間は珍しくなかった、人攫いに攫われるかけた、喧嘩がよくおこり、それらを見下ろす金持ちがいた。
     ロバーツ領の治安がそんなによろしくないせいもあったのだが、幼いバーソロミューにわかるわけがない。
     なので、そこで小屋から外に世界に飛び出す選択肢はバーソロミューの中から消えた。四歳児が一人外に出たところで、野垂れ死ぬか攫われるかだ。
     押し込み強盗の心配のない小屋の方が安全か。
     だから小屋には帰り、“外”の情報を仕入れた。
     少しずつ着実に、焦らずに。
     その間、バーソロミューつきとなっているメイドが気まぐれに食料を運んできて、抜け出しているのが判明すると困ると、メイドについても調べた。もちろん弱みを握る為。
     とはいえ五歳児が握れる弱みなどと思っていれば、屋敷に忍び込んだ時に、宝石を盗んでいるのを見つけた。驚く彼女に優しく声をかけ、給与が低くて仕事も忙しくて辛かったんだね、でもその宝石はだめだよ、使用頻度が高いから、こっちの方がいい。バレない。そう。弟達の為に家に仕送りをしなければならないんだ、と寄り添って慰めた後、黙っておいてあげるから、私が小屋にいなくても気にしないで、もし怒られて折檻されれば貴女の事を話しちゃうかも、と言い含めておいた。
     六歳、七歳となり、メイドの手を借りて本を入手し、必死に文字を学んだり、バレないように少しずつ金目の物品を小屋に隠したりして、外見だけなら十歳に見えるようになった。
     商家や貴族の丁稚に扮装できるようになり、以前から目をつけていた質屋に向かった。少々、足元を見るが、売った者の事情を詮索しない質屋。
     丁稚のふりをして、『奥様に秘密にしてくれと言われて』と嘘を言って、屋敷から盗み出した金目の物を売った。
     外見が働ける年齢になると、働いたりもした。
     途中、メイドが変わったりとハプニングがあったが、こちらはなかなかのクズだったので、遠慮なく家族の情報を握って脅して口を紡がせたりして、25歳となった。
     それまでに家を出なかったのにな、特に理由がない。一念発起して、家を飛び出して海にでも行ってもよかった。だが、仕事は見つかるのか。衣食住は。4才のあの日、死にたくないとは思いはしたが、かといって積極的に生きる目的もみつからず、きっかけもなく、中途半端にずるずると生き、25歳となってしまった。
     とはいえ、このままではずるずると生きてはいけない。下手すれば小屋を引きずりだされて、というのは考えていた。妹が婿を取るだろうし、あの当主が変われば、そのタイミングで変化があるかもしれない。来年には出るかとうっすら考えていた時、小屋を男性が踏み込んできた。
     種の方の肉親、父親である。
     数年ぶりに見た、記憶よりもでっぷり太った父親。
     カツラを被って服を何重にも羽織ったバーソロミューに、その父親は初めて息子に声をかけたのだった。

    「お前の結婚が決まった」

     はあ? お前、正気か?

     そう口から漏らさなかった自分を褒めてやりたい。漏らして喧嘩になっても勝てるが、当主を殴るか亡き者にした場合、追手が面倒だ。
     しかし結婚て。
     バーソロミュー・ロバーツに?
     妹が同情されて遊びまくる為に、社交界デビュー前からせっせとまいていた悪評を知らぬわけでもないだろうに。
     バーソロミューもそれに便乗して、この屋敷で誰かに姿が見られそうな時は、カツラを被って顔を隠して、服を何重にも着て、声を変えているけれども。
     あらためて、正気か?
     容姿悪し、性格悪し、教養なしの男と誰が結婚したいんだよ。
     言葉をなんとか飲み込んで、自分がメカクレになるのは違うんだよなぁと思いながら父を見れば、父は汚いものを見るようにバーソロミューを見て、うだうだと回りくどく威張り散らかしながら説明をはじめた。
     金に困った侯爵家に融通するかわりにと、とりつけた結婚。この男はそれを足掛かりに妹の婚約者にもっと良い婚約者を用意したり、後は侯爵の名前を悪用して色々と企んでいるらしい。
     あ、これ、その貴族が金に困ったの、コイツの差金だなぁとか思っていれば、夫となる人物の年齢を聞かされ、コイツ、本当に正気か? 正気だったとしても、もういっそここで頭かち割った方が世のため人の為、私の為ではと思ったほどだ。
     だって夫、15歳だった。
     確かに成人している。ピカピカ一年目の成人だ。だからといって、なんでだよ! と心の中で叫ばずにはいられない。
     15歳て。
     今時、15歳で結婚て。
     これはもうその坊やの為にも家出してと思うが、そうなると融資の話は消えるのだろうか? 融資の話がなくなると大変そうだよなぁ。知ったことではないのだが……でも確かゲール卿がおさめる領地って海あるよな。海。
     うまくすれば衣食住付きで海の近くに住めるという事か。
     迷っている間にあれよあれよと使用人達に囲まれ、なんとかトランクを持ち出せたものの、馬車に詰め込まれた。
     付き添いは誰もいない。
     御者が一人。
     腕っぷしには自信があるのでいつでも逃げ出せるかぁと流れに身を任せたのだった。


    「まぁそうして二年半前にここに来て、白い結婚の契約をかわして、執事のふりをして外に出たりして自由気ままに暮らしてたって感じだな」
     バーソロミューは食卓の椅子をソファーの前に持ってくると、自身はそれに座り、パーシヴァル達にはソファーをすすめて、自身の半生を話しだした。
     ちなみにあの不思議な声は疲れるからやらないと、普通の声に戻した。カツラや布もやっぱり邪魔と話の途中でポイポイ部屋の隅に放り投げて脱いでいる。
     バーソロミューは、さて、と手を叩く。
    「王都は遠い。だが商人達が噂を運んでくれるものさ。ひょっとしてなのだけれど、」
     ゴホン、と期待がこもった目でパーシヴァルを見た。
     大捕物があり、悪徳貴族が一斉に捕まったそうだ。詳しい内容まではわからなかったが、ロバーツ家もいたとかなんとか。
     つまり、そうつまり!
    「離縁が早まったり……」
    「結婚してください!」
    「落ち着きなさい愚か者」
     バーソロミューの期待に上擦る声がパーシヴァルの大声によって遮られ、瞬時にしてトリスタンの鋭い声がパーシヴァルを諌めた。
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