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    nekononora

    94。書くのも読むのも雑食でいきます。逆、リバ、R、G、などなど書きたいように書き散らかします。
    なぜかもう一個のアカウントがよく弾かれるようになったので、こっちで上げる。
    設定がわからーん!

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    nekononora

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    クラミキ。

    #クラミキ
    pottersWheel

    これからはじまる恋と愛。 自覚した瞬間、あ、無理だな、と失恋した。

     無理だ。無理無理。
     だって相手はクラさんだ。
     元聖職者で元人間の吸血鬼。二百年眠っていたのに日本でも前向きに暮らしている凄い人。
     しかもかっこいいし可愛い。
     黙って立っていれば海外の俳優かモデルに間違えられるし、喋ればそのふんわりした雰囲気に引き込まれる。
     猫カフェにクラさん目当ての客もいるぐらいだ。
     そんな彼の隣に友人として立てているのが奇跡に近いのだ。
     だから無理。
     うん無理。恋の土俵に立てるはずもない。敵前逃亡、戦略的撤退だ。
     だが、なんというか、恋を自覚して失恋したが、友人として接していればカッコいいなぁだとか、髪に触れたいなぁだとか、抱きしめたいし抱きしめて欲しいなぁという欲が蓄積されていく。
     自分に性欲なんてないと思っていなので、これは困った。
     今まで淡白すぎて経験がなく、もちろんそういう方面で困った事がなく、どう発散すれば良いのかいまいちわからない。自分で発散しても虚しさが募って悪循環におちいり、そこで名案を閃いた。

     出会い系だ。

     クラさんは無理だが、そういう方面のアプリでサクッと相手を見つければいい。ちょっと抱かれれば発散できるだろう。
     なので早速登録したのだが、クラさんと似てる人がいいなとなると、相手がなかなか見つからない。
     長身で黒髪のモジャモジャで赤い目でほりが深くてかっこよくて鍛えていて少し片言の外国人。
     一週間ぐらいアプリで探して、理想が高すぎるのかと気づいて、少し下げる事にした。
     どれを下げるのか。黒髪モジャモジャは残そう。赤い目も。あとはあとはと考え、ハッと気づいた。せっかく抱かれるのだ。アレは大切だろう。

    「というわけで吉田さん。クラさんのちん長しりません?」

     吉田さんと二人っきりで飲んだ日。
     缶ビールを三缶飲んだ俺はそう吉田さんに問いかけた。
     吉田さんはビールをクピクピ飲み、
    「ちょっと知りませんねぇ」
     と、なんでもないように返す。
    「太さだけでも」
    「自分のも知りませんからねぇ」
    「え。知らないんですか? 自分の」
    「三木さんは知ってるんですか?」
    「……知らないですね」
     そうか。測らないよな。と、納得する。
     ビールをもう一口飲もうとしたら、吉田さんにお茶と変えられる。
     あれ? なんで? と吉田さんを見たら、にっこり笑われたので、にっこり笑い返し、しみじみといった風に言う。
    「クラさん、でっかそうですよねぇ」
    「そうかそうじゃないかと言えば、そうですねぇ」
    「平常もでかけりゃ膨張率も凄そうだし」
    「もうそろそろノーコメントでいいかなぁ僕」
    「そんな凄い人に恋したらせめてチンだけでも同じ規格のを! って思いますよね!?」
    「思わないなぁ」
    「なんで!?」
    「なんででしょうねぇ。そういやそれ、道具とかじゃダメなんですか?」
    「…………その手がありました! あ、駄目です! チン長知りません!」
    「もういっそ、本人に聞けばどうです?」
    「聞けるわけないでしょう!?」
     なんて事言うんだと叫べば、吉田さんはなぜか苦笑した。
    「告白したらどうです?」
    「……できません。困らすだけじゃないですか。だからせめて思い出としてチンだけでも同じサイズを……」
     いっそ健気じゃないですか。俺。
     と笑えば、吉田さんは「すみません」と立ち上がった。
     通話中のスマートフォンを持って。
    「え?」
     なぜ通話中と顔をあげれば、先ほどまで吉田さんが座っていた位置に違う吸血鬼が座る。
     その人物を見て、一気に酔いがさめた。
     吉田さんが「途中から電話してました。あとは本人同士で話し合ってください」なんて見合いの席の親みたいな事を言って部屋から出ていく。
     待って、二人っきりにしないでくれ。
     野暮用を思いだしたと立ちあがろうとするも、
    「ミキサン、座リナサイ」
     と言われれば、ストンと座るしかない。
     じっと机の上を見る。
     数秒の沈黙の後、彼が話しだす。
    「私モアプリ登録シマス。希望ハ、黒髪デ目ガ細クテクマガアッテ、頸ヤ手ニ怪我ヲシテテ、イッパイオ仕事シテル、私ノ好キナ人」
     それは、と顔をあげれば、優しく微笑んで俺を見ていた。
    「名前ハミキサンデス」
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    DOODLEΔノスクラの出会い捏造。人間ノスはまだ十代後半で御真祖様が創った吸対一年生でウスはノスより一回り年上ぐらいをイメージしています。クラさん未登場。
    Δノスクラ出会い編1 すまない、父を止められなかった。そう、涙目で震える歳上の友人の姿に呆れたような気分と、何故止めてくれなかったのかという気持ちと、いや無理もないお前は頑張ったと肩を叩いて慰めたい衝動が一気に湧き上がったものの、ノースディンがそれら全てをぐっと腹の中に抑え込む事に成功したのは数日前の昼だった。
    「じゃそういう訳だからシクヨロ。ドラウス、私が留守の間は代理頑張ってね」
    「解っています頑張ります俺はできる子努力の子!うぇーんミラさーーーん!!」
     えーんと大きく悲痛な叫び声をあげて執務机に突っ伏す友人の姿は悲痛なものであったが、純白の制服の背が昼の明るさに眩く煌めいていたのが奇妙に瞼の裏に焼き付いている。
     友人の父でありノースディンにとってはかけがえのない恩人にして誰よりも敬愛する人物は、嘆く息子の姿を何処か微笑ましげに眺めている。と言っても彼は極端に表情に乏しいため、おそらく他人から見ればひどく冷淡な男に見えているのだろうが。
    1947