杞憂な心配 学生時代から、友人知人に変に肝がすわっていると評価されていた。
汗をかいたりおどおどともするのだが、恐ろしい状況や人にも、わりと物怖じせずものを言うし、対処しているから、らしかった。
吉田としては、そんな事ないんだけどなぁ怖いものは怖いし、逃げる時は逃げるし、という反応だったのだが、今日、今、この瞬間、ひょっとしたら自分は皆が言うように図太いのかもしれないと、ホット牛乳が温まっている電子レンジを見ながら、認識を改めていた。
ピーと電子レンジの音が鳴り、中からコップを取りだす。ラップを外して、部屋に戻る。
「すみません。吸血鬼はクラさんぐらいしか部屋にあげた事がなくて、人工血液の方がよかったですか?」
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