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    重ーかさねー

    🟦⛓のngroの小説をちみちみと書いてます。

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    重ーかさねー

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    ワンライの再録です。

    未来軸の謎時空。
    同棲してます。

    #ngroワンライ再録

    かぼちゃプリン 人間、どうやったって気分が落ちる日やとにかくイライラしてしまう日があるのは仕方がない、と思う。原因はホルモンバランスや自律神経等の乱れとか、疲れ、ストレス、気圧によるものなど様々だ。また、些細なことのが重なって、不安や疑心暗鬼になる場合もあるかもしれない。
     はぁ、と何度目になるかもわからないため息をつく。一言で現状を説明するのなら「やってしまった」に尽きる。
     昨日の夜、今夜のデザートにと手作りしたかぼちゃプリンを凪が先に食べてしまったのが今回の事の発端だ。いつもの俺なら「しょうがないな」の一言で片付けてしまう話なのだが、虫の居所が悪かった……とでも言えばいいのか、ついぷっつんしてしまったのだ。
    「凪のバカっ! うどの大木! イケメン! 高額納税者!」
     と怒鳴りつけ、もう知らないとばかりに仕事部屋に引きこもってはや数時間。最初は、赤ちゃんだアザラシだスパダリだと罵詈雑言を吐き続けていたのだが、次第に落ち着いてくると今度は自己嫌悪に苛まれはじめて今に至る。
     あんな酷いことを言ってしまったのだ、凪も呆れているかもしれない……。そもそもの話、自分がこんなに情緒不安定な理由も本を正せば己が原因である。
     ちゃんと友人との付き合いも大切にしろ、と凪を飲み会とか遊びに行くように言い聞かせ、凪は俺の言う通り十回に一回は誘いにのるようになった。えらい。
     ただその反面、凪と俺との時間が減り、一日平均八時間しか凪成分を接種できなくなってしまったのだ。凪のあどけない寝顔を眺めながら、箱庭に閉じ込めてしまおうか……なんて考えるくらい俺は凪不足になってしまった。本末転倒である。
     だからこそ、今夜はイチャイチャしていっぱい凪吸いしようと思ってたのに、そのためのかぼちゃプリンを凪が食べちゃったのだ。ショックとほっぺにプリンつけてる姿の可愛さと愛しさと切なさでぷっつんしてしまうのもやむを得ない……と思う。
     しかし、いつまでもうじうじしていても仕方ない、と気合を入れて立ち上がる。いつの間にか外は暗くなり、部屋の中も肌寒くなっている。時計を見るとそろそろ夕食の支度をし始める時間をさしており、そそくさと部屋を出る。
    「凪ー……」
     仕事部屋の扉から顔を出し、凪を呼ぶが返事はない。リビングの明かりをつけ、空調を調節しつつ辺りを見回すが凪の姿はなく、寝室をみてもいなかった。
     まさかと思い玄関に急ぐと凪の靴はなく、俺はその場にへたり込んだ。力なくスマホを確認するが凪の連絡等はない。
     
     愛想を尽かされた。

     そう思った瞬間、空調がきいてるはずなのに体の震えが止まらなくなった。腕もすってもすっても寒いままで、足なんて立ち方を忘れたかのように脱力している。
     どうしよう、どうすべきか、考えても思考は空回りするばかりで役に立たない。誰かに相談でもして落ち着こうと馴染みの名前を表示するが、今日は久々に二人きりだと嬉しそうに言っていた姿が浮かび、そっと閉じた。


     何分座り込んでいたのだろう。
     五分くらいな気もするし、十数分、数十分もそうしてたような気がする。
     突然、ガチャとロックの解除音が扉から発せられ、ついっとそちらに視線を向ける。
    「レオっ……」
     扉が開いたかと思った瞬間、すごい勢いで凪が俺を抱き上げ、心配そうに俺の顔を覗き込んだ。
    「どうしたの、なにかあったの」
     安心させようとしてるのか、頭や顔、背中や肩を優しく撫でながらゆっくりとリビングに向かい、ゆっくりとソファにおろされる。
    「レオ、どうしたの? 俺ここにいるよ、何があったか教えて……」
     腕に引っ掛けてた袋を机の上に置き、向き合うと優しくちゅっちゅっと眦や頬に口付けをおとす。俺は凪の胸に顔をおしつけ、いやいやするように頭をこすりつける。
    「レオ、大丈夫だよ。だから、なんで泣きそうな顔してたのか教えて」
     優しく抱き込み背中をさする。凪の胸に顔をおしつけたまま、口をひらく。
    「……凪が……、凪が、いなくなったかと思って……」
     目元があつくなるのを感じながら言葉を紬続ける。
    「俺が、酷いこと言ったから……。愛想を尽かされて、いなくなっちゃったんだって思って…」
     そして、と言葉を続けようとする俺の顔をくいっと上に向けると、眼の前に凪の真剣な顔と唇に柔らかい感触。
     ちゅぅっちゅぅっと唇を吸われ呆然としてると、凪がおでこをこつんとくっつけてくる。
    「俺がレオに愛想を尽くすことはないよ。そもそも、今回のは俺が勝手にかぼちゃプリン食べたのが悪いんだし」
     あと、レオが言ってたのって殆ど褒め言葉だったし。と言葉を続けながら抱きしめられる。
     おずおずと手を回すと、凪はごめんねと何度も誤ってくれた。


     結局、気がついたらそこそこ遅い時間になってしまい、今から夕飯の支度をするには時間がかかりすぎると言うことで、出前を頼むことしにた。
     出前を待つ間、ソファでくっつきながらテレビを眺めていると、そういえばと凪が申し訳無さそうに俺を見つめてくる。
     どうしたのかと問うと、机の上においた袋から箱を取り出すと、今度は箱から中身とりだす。はたして箱の中身は件の原因のかぼちゃプリンだった。
     どうやら、食べてしまったかぼちゃプリンを探しに街中を駆け回っていたらしい。特徴的な容器だったから見つけられるとおもったが、見つけられず別のものを買ってきたとのこと。
     そのいじらしい姿にきゅんっとしつつ、あれは容器から手作りだった旨を伝える。俺の言葉に、ぽかんとした顔をする凪。可愛い。
     その後、視線を右往左往に動かすと小さい声でマジかーと呟くと息を吸い。
    「レオ、愛してる。本当にごめんね」

     完
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