「チワッス蝙蝠運送でーす」
夜間配達専門をしている吸血鬼の運送屋が、いきなり窓辺に現れた。ドラ公と共同生活をし始めて早30年近く経つが、未だに玄関からでなくこうやって窓から入り出す吸血鬼は数多くその対応に慣れてしまった自分も大概だなぁとしみじみと思った。
「はいよ、ご苦労さん」
ポンっとハンコを押して飛び去る運送屋吸血鬼に手を振った、渡された荷物はドラルク宛で送られて来た先がどうも海外からの様だ。
「ロナルドくん誰か来たのかい?」
気配を感じたのか、隣の部屋で料理をしていたドラ公が顔を出した。
「ああ、宅急便。お前宛だけど誰からなんだ?」
「なんと、やっと来たんだね!!待ち侘びていたよっ」
パッと明るい表情を見せるドラ公は荷物を受け取ろうと手を伸ばすが、俺はそれを阻止して頭上高くに荷物を持ち上げた。
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