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    パイプ

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    パイプ

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    短いお話がなにより難しいので、クリスマスまでに少しでも上達したい...

    12月1日「Crazy:Bのみんなとごはんやねん」とどこか楽しげに部屋を出たこはくに「いってらっしゃい」と手を振って見送った後、ふと今夜はどうするかなと考える。
    ここ、星奏館に移り住んできてからというもの、チームワークを高める訓練とやらの名目でEdenも食事を共にすることが多くなったのだが今日その予定はない。Edenで集まらない日は日和と二人で食事をとることが多いのだが、この時間に連絡が来ていないという事は今日は別で夕飯をとるのだろう。
    自分一人のために今から何かを作るのも億劫なので食堂か、久しぶりにシナモンに行くのもいいかもしれないとぐっと伸びをして立ち上がった時「ジュンくん!いるね!」と何故か断定した言葉と共にノックもなしに日和が部屋へと入ってきた。


    「・・・で?なんなんです?これ」
    勿論、ノックをしろだとか、あんたの部屋じゃねぇんですとか、声がでけぇとか思いつく限りの苦情は述べてみたけれど、ジュンとジュンのものは全て自分のものだと思っている日和に聞き入れてもらえるはずもなく。「そんなことより、これっ!」と、ずいと差し出された大きな箱を流れのままに受け取って、疑問を口にする。

    「アドベントカレンダーだね!」
    「あどべる....?」おうむ返ししたつもりが、どうやら違ったらしく、もう一度今度はゆっくりと「アドベントカレンダー、だね」と教えられる。文字の羅列は分かったが、やはり聞いたことのないアドベントカレンダーが何かは分からない。
    大きな箱をジュンに渡して身軽になった日和が我が物顔でソファーに腰掛け、隣にジュンを呼ぶので、逆らっても仕方ないかと大人しくそこに吸い寄せられる。

    「ほらみて、この箱には1から24までの数字が書かれていて、それぞれの数字は切り取り線で囲まれていてくり抜けるようになってるね。」
    「わ、ほんとっすね。」
    指先でミシン線を押して破ろうとしたジュンを日和が慌てて止める。
    「だめだめっ!これはいちにちひとつずつ、日付と同じ数字を開けてクリスマスを楽しみにする気持ちを膨らませるアイテムだね!だから今日あけるのは1のここ。」
    1と星のマークが描かれた場所を指差して「ほら、ここ。開けてみて?」と日和にいわれるままにそこを丁寧にあけていく。
    「わ、キャンディ・・・っすか?」
    切り取り線を開けたそこに入っていたのはふたつのキャンディだった。
    「ふふ、今日はキャンディみたいだね。この中にはお菓子や小物が入ってるの。勿論、ぼくがプロデュースして巴の系列に作らせた特別な一品だから味は保証するね!早速いただこうね。」
    いつの間にか器用に包み紙をはがしたキャンディを口の中に押し込まれる。
    「んぅ、・・・あ。いちごみるく。」
    好きな味につい緩んだ頬を見逃さなかった日和が微笑む。
    「ジュンくんったら、キャンディひとつで幸せそうなお顔しちゃって。かぁわいいね。明日からもひとつずつ、出来る限り一緒にあけていこうね。」

    こんなこと言ったらまた単純だって笑われそうだから絶対に口には出さないけど、オレは確かに明日からクリスマスまでの期間がたのしみだなって思ってしまった。




    「さ、ジュンくん。ごはんを準備してね!ぼくおなかすいちゃった!」
    「げ。今からっすかぁ?今日は食べにいきましょうよぉ〜。」
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    Replies from the creator

    パイプ

    PROGRESSお久しぶりです。
    久しぶりすぎてこの世界観に帰ってこれてないかもしれない...
    今回、一旦最終章となります。
    生きる時間の違う九尾と人の子は果たして同じ時間を同じ気持ちで生きていくことはできるのでしょうか?
    九尾の日和と人の子ジュン「燐音先輩。」
    「きゃはは!どうしたァ?ジュンジュンちゃんよお。そんなマジな顔しちまって。遂に俺っちにホレちまった?」
    「人の子って大人になっても変化していくもんですよね?」
    「は?」

    日和が会合とやらで出掛けていると風たちが噂しているのを聞き付けた燐音がジュンで遊んでやろうとこの家に遊びに来たのが凡そ一時間前。ところが今日のジュンはどこか浮かない顔をしていて、いつもならやれやれと言う顔をしながらも燐音の悪戯や遊びに付き合うジュンだが今日はそれさえもなく、やっと口を開いたかと思いきや先の一言だ。

    「ナニそんな当たり前のこと聞いてンだ?成長して老化して死んでいくっしょ?ニンゲンなんてモンはよォ?」
    その当たり前さえコイツは知らないままここに来たんだっけかと燐音が思い直しているとジュンは「そっすよね」と知っていたような口ぶりで返して視線を完全に窓の外へとやってしまった。
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