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    5月GOGOmoon

    5月です。
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    たまにしか更新しない日記 https://roudoutohibi.hatenablog.com/

    グエルくんを宇宙世紀に軽率に飛ばす人

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    5月GOGOmoon

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    15話後、軌道エレベーターまでの話。

    #オルグエ
    #グエル
    guele
    #オルコット

    遠雷(無償DLサンプル)「こんなはずじゃなかったんですよ」
     まだ人の息遣いが聞こえてきそうな生活感が残る街だった。資源の枯渇により産業が廃り、住民同士の争いが絶えず、ほとんどが出て行った。歩いていると気配を感じたが、後ろを向いても誰もいなかった。
     まだ残っていた人間も、すぐに別の場所へ移らねばならなかった。
    「今いろいろ探してるんですけど、なかなか見つからなくって。見つからないのは探す努力をしてないからだって怒られちゃうんですよ」
     その男は力なく笑いながら、車の整備をしていた。
    「過去に引っ張られるんですよ。ここで生まれて育ってきたから」
     今まで乗ってきた車が故障して、この街に立ち寄ることになった。男は親切にも車を見てくれた。車の下から顔を出して、ダメですね、といった。
    「この車はもうダメですね。長距離を走りすぎです。僕の車を譲りますよ」
     男はグエルとオルコットを倉庫へ案内した。カバーを取ると、手入れされた古いデザインの車が出てきた。
    「守り通した僕の大切なものなんですけど、進むなら何か一つ捨てないと。ははは」
     その車のキーをもらい、今まで乗ってきた車をここに置いていくことにした。ゴミ同然の車を、男は二人との思い出だから大事にするといった。荷物と燃料を移し、男に礼をいった。グエルは移れそうな街があるかもしれないから、一緒に乗っていかないかと提案したが断られた。
    「まだここにいさせて下さい。ここにいたいので。自分で進みますから」
     車を出すとき、男は二人を見送った。グエルが振り返ると、笑顔で手を振り続けていた。急速に寂れていく街に最後に咲く一輪の花のようで、もう一度見たいと思ったが、その勇気がなかった。



     遠くの空で大きな機械が壊れて崩れるような音がした。周囲に伐採された森が広がる道を走っているときだった。
    「何だ?」
    「雷だ。知らないのか」
    「本で読んだことがあるだけだ。本当にあるんだ」
    「雨が降る。道が悪くなるから、もう少しいったところで今日は休もう」
    「まだ進めるだろう。遠くで鳴っているだけじゃないか?」
    「環境が破壊し尽された地球の天気を甘く見ない方がいい。この先は道も悪いしな」
    「回り道はないのか」
    「諦めろ。水没して車を失うことになる。一旦止まるしかないんだ」
    「……分かった」
     重い雲が立ち込め、辺りは暗くなり、一瞬強い光が差す。何か空の上で戦っているのかと思うくらいだった。カーブが連続した道に差し掛かり、オルコットは右手でギアを素早く切り替え、三つのペダルを踏み分けながら、義手でハンドルを回していく。男が多少整備してくれたものの、持ち主のいうことしか聞かないのか、「機嫌」が悪かった。しかし、乗りこなせればモビルスーツよりも機械との一体感がありそうだった。黒くごつい車だ。バンパーには、横線が太く長く、縦線が短い、銀縁の金の不格好な十字のマークがあった。
    「うまく進めないことが多いな。最初いってたよりも時間がかかってる」
    「別に嫌ならやめてもいいんだぞ。今ここで旅を終えても続けても変わらない」
    「……進めば得られることもあるはずだろ」
    「得たものがずっと手元にあるわけじゃないだろう。いつかどこかで必ず失う。失うと分かってるものなら、最初からいらない」
     雨が激しく降り始めた。やはりワイパーがうまく動かない。アスファルトに大きく亀裂が入り始めた。車体ががたつき、空いた店の前で止まる。外壁がエメラルドグリーンで、大きな窓からはテーブルが並んでいるのが見えた。四角い建物で、平らな屋根はピンクと青の線で縁取られている。その上には錆びて汚くなった看板があった。DINERと書かれている。
     車から降り、グエルは濡れないようにパーカーのフードを被った。壊れたドアから、中に入ると、赤い革張りのソファと白いテーブルが並ぶ。壁には額縁に入った写真が多く飾られていた。床は白と黒の四角が交互に並んでいた。割れて壊れた時計が落ちている以外は、ホコリは被っているものの、きれいなままだった。
     カウンターにポットとドリッパーがあった。側にサーバーもある。もしかしたらとキッチンに入り、棚を探してみる。
    「あった」
     缶の中に袋に入ったコーヒー粉が残っていた。フィルターもある。
    「コーヒー飲むか?」
    「そんなとこにあるコーヒー大丈夫なのか? 一体いつのなんだ」
     封を開け、嗅いでみると、しっかり密閉されていたからなのか、香ばしい匂いはまだ残っている。
    「淹れてみよう」
    「俺は飲まないぞ。何が入ってるか分からんからな」
     グエルはキッチンの中をさらに探した。ほこりがかぶった箱があり、開けるとコンロが出てきた。ガスボンベも一緒にあり、箱に書かれた説明を読みながら試してみると、火がついた。
     貴重な水を使うなと怒られたが戸惑うことなくケトルで湯を沸かし、ドリッパーにフィルターをセットしてコーヒー粉を入れる。渦を描くように湯を注ぎ、粉全体にしみ込ませて蒸らした後は、真ん中に小さい円を描くように湯をゆっくり注いでいく。
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