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    😈桜魔 夜人🐙

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    😈桜魔 夜人🐙

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    七海誕生日おめっと小説。
    料理出来ない系五がいます。
    色々と残念なのは許して下さい…。

    七詰め2 展示パスワード解除しました!

    #五七
    Gonana

    お互い様です。誕生日にまで仕事なんざしたくない。と思う社会人は少なくないのではないだろうか。
    7月3日。本日誕生日の七海は目の前の呪霊を睨み付けながら舌打ちをする。
    別に誕生日だから仕事をしたくないわけではない。なんなら出勤するまで自分の誕生日を忘れていた。
    今までなんやかんやと誕生日は周りのお陰で休みになっていた七海は、今回は五条に騒がれ有給申請をしていたりもする。しかし固定休ではないが万年人手不足のこの呪術界に誕生日だからと申請しても休みを貰えるわけもなく今日も仕事。しかも残業。騒いだ五条でさえ出張で3日前から東京には居ない。物凄い不機嫌になった五条が伊地知に当たり散らし、見兼ねた七海が五条に説教したのも記憶に新しい。本当に労働はクソ。五条の我儘もクソ。
    そこまで考え、ため息を吐きながら七海は鉈と拳を振るった。響く断末魔が酷く耳障りだった。本日最後の任務を終え、時計を見れば時刻は22時半を過ぎている。

    「………フーーー…」

    早く帰ろう。長いため息を吐きスマホを取り出す。いつも通り五条に連絡しようとして、七海は動きを止めた。
    今日は任務が終わったらすぐ連絡入れてよね!とうるさい五条も出張中なのだ。いつ帰って来るかもわからないし、なんなら今まさに任務中かもしれない。
    七海は少し考えて結局五条には一言だけ送り、高専に無事に終わったので直帰する旨の連絡を入れる。

    「(今日はロクに食事をしてなかったな…)」

    現場を後にし、何処か簡単に食事が取れる所を探す。

    「(ラーメン…蕎麦……蕎麦にするか…?)」

    調度立ち食い蕎麦の店から食事の終わったサラリーマンが出て来た。さっさと帰りたい七海は暖簾を潜ろうとした。その時だった。

    ブーブー

    七海のスマホが震えた。ディスプレイには《五条 悟》の文字。

    「……はー…」

    なんてタイミングだ、と一旦店先から退き電話に出る。

    「はい。七海です。」

    『あっ!七海!お前もうご飯食べた?!』

    出るなり響いた大声に眉を寄せる。

    「声が大きいです。今から食べようとしていたとこですよ。」

    『え!?頼んじゃった!?』

    「いいえ。立ち食い蕎麦でも、と入ろうとした所でした。」

    『じゃあさ!帰っておいでよ!一緒に食べよう!』

    「は?」

    『え、何その反応。イヤなの?』

    突然の言葉に思わず出た声に反応して五条の声が少し不機嫌になる。

    「いや、だってアナタ今地方でしょう?」

    『もう終わってお前ん家だよ。』

    「はぁ?それ私に拒否権無いやつじゃないですか…」

    『え、お前僕との食事拒否すんの?』

    「いやしませんけど…一緒に食べてもいいですけど、もう遅いですから肉とか中華とか油っこいのは嫌ですよ?」

    『おっけー。僕は大丈夫だよ。』

    「はぁ…まぁ、ならいいですけど…」

    『じゃあ七海は何も買わなくて大丈夫だからね!どーしても食べたい物があったら買っておいで。』

    「わかりました。」

    『じゃあまた近くなったら電話してね!』

    「わかりました。」

    『じゃーまたあとで!』

    「はい、また。」

    やたらテンションの高い電話を切る。
    何かいい事でもあったのか?と思いつつ、疲れたから早く帰ろう…。と自宅へ歩き始めた。




    「ただいま。」

    「おー、おっかえりー。今日もバカみたく暑かったねー。まだ7月始まったばっかだってーのにこんなに暑くちゃ8月どーなんだってーの。」

    「まったくです。」

    玄関まで出て来た五条が手を伸ばし荷物を受け取る。

    「このまま先風呂入っちゃいなよ?着替えも持ってくからさ。」

    「でも五条さんも食べてないんでしょう?」

    「うん。でも全然待てるよ。」

    「なら先に食べましょう。ゆっくり入りたいです。」

    「そっか。」

    「五条さん。」

    「何?」

    「何かありました?」

    「…何が?」

    違和感が確信に変わる。

    「なんだかそわそわしてますよね?」

    「してないよ。」

    「そうですか。」

    「うん。」

    「……手を洗ってきます。」

    そのまま洗面所へ向かう。
    何か悪戯でも仕掛けてあるのかと身構えながらリビングに行くも特に変わった様子はなかった。
    敢えて言うなら少し焦げ臭い……焦げ臭い?

    「ちょっと、五条さん何か焦がしました?」

    「あ、ごめん。少し魚とか焦がしちゃった。」

    「魚?」

    「うん。夕飯。魚なら食べれるでしょ?」

    座って座って、椅子を引かれ大人しく座るも首を傾げる。

    「え、アナタ料理出来たんです?」

    「いや?出来ないけど?」

    「…ですよね?」

    テーブルに置いてある焦げた鮭を見、嫌な予感がして立ち上がろうとするも肩を抑えられ阻止される。

    「ちょっと、五条さん。絶対キッチン大変な事になってますよね?」

    「大丈夫!片付けるから!料理は片付けまでが料理って教わったから!とりあえず食べよ!」

    「はー…わかりました。よそうの手伝います。」

    「いや!大丈夫!七海は座ってて!」

    頑なにキッチンへ行かせまいとする五条に地獄絵図を想像し、頭を痛ませながらも大人しくしている事にした。

    「不味いかもだけど許してね~」

    テーブルに並ぶのは、鮭のムニエル。ほうれん草とベーコンのソテー。炒り卵。そして白米とわかめと豆腐の味噌汁。

    「(……小学生の調理実習で作ったな…)」

    「七海誕生日おめでと~!」

    パンッ!とクラッカーの音。
    そして祝いの言葉。
    時計を見れば、0時より少し前。

    「………あ…」

    「なーに?お前自分の誕生日忘れてたの?」

    ケラケラ笑いながらクラッカーを片付ける五条。

    「ギリギリだけど間に合って良かった~。さ!食べよ!」

    「そうですね。」

    少し失礼な事を考えてしまったが許して欲しい。
    満足そうに正面に座る五条になんだか微笑ましくなってしまった。

    「「いただきます」」

    一口味噌汁を飲む。

    「………」

    無言で思わずビールを飲む。

    「え、不味かった…?……うわまっず!」

    「五条さん…出汁の素入れました…?」

    「え?」

    典型的なミス。恐らく五条は味噌をお湯に溶いただけだ。味噌とお湯の味がする。それも豆腐から出た水で薄まった味噌湯。そしてやたらわかめが入っている。乾燥わかめがどれだけ増えるかわからなかったのだろう。

    ほうれん草のソテーを一口。
    火が通り過ぎてビチャッとしている。

    炒り卵を一口。
    ガリッとした歯応え。殻が入ってしまっている。

    鮭のムニエル。
    裏面が焦げている。ちょっと苦い。

    白米。
    水の入れ過ぎだろう。柔い。

    「「………」」

    「全滅じゃん!」

    げぇ~!と天を仰ぐ五条。無言で俯く七海。

    「………ふ…」

    「?…七海?」

    「……ふふっ……ははっ!」

    「えっ!?不味過ぎて七海可笑しくなった!?」

    声を上げて笑い出した七海に五条は動揺する。

    「こ、こんな典型的な失敗します…?」

    ツボに入ってしまったのか、ヒーヒー言いながら七海は笑う。

    「な、なんだよ!」

    「あー、可笑しい。」

    恥ずかしくなって顔が赤くなった五条。七海は涙を拭いながら炒り卵に箸を伸ばし、口に運び、ムニエルを白米に乗せ食べ、味噌汁を飲む。

    「お世辞にも美味しいとは言えない。」

    「あー!もう!バカ!そんな不味いの食べるなよ!」

    五条が手を伸ばすも、七海は渡さない、と自分の皿を引き寄せる。

    「あげませんよ。コレは、私のです。」

    「は…」

    愛おしそうに焦げたり、ビチャビチャになった料理を見、そして口に運ぶ。

    「食べないんですか?食べないなら五条さんのも貰いますよ?」

    次々と口に運ばれる様子をぽかんと見ていた五条はその言葉で我に帰る。

    「ば、おま、こんな不味いのによく食べるな!?」

    「いらないんです?」

    「いるよ!」

    このままではこのクソ不味い料理を七海が平らげてしまう。そう思った五条はムニエルを食べる。が、

    「にっが…」

    あまりの不味さに一口で箸が止まる。

    「無理しなくても私が食べるのに。」

    「いや…お前も無理して食べなくていいよ…捨てようよ…」

    「嫌です。」

    「なんで。」

    「せっかく恋人が夕飯を作ってくれたんですよ?捨てる訳ないでしょう。」

    「いやでもさ…」

    「忙しい中、誰かから作り方を聞いたんじゃないですか?」

    「な、なんで?」

    「片付けまでが料理、と教わったんでしょう?」

    しまった、と五条が目を逸らす。

    「隙あり。」

    「あっ!」

    すかさずムニエルを奪った七海に五条は慌てるも、ムニエルは七海の胃袋に収まってしまった。

    「お前…」

    「最強のアナタの弱点が料理、だなんて知ってるのは僅かでしょうね。」

    「食べさせたのはお前が初めてだよ…」

    「おや。それは光栄ですね。」

    それを聞いて満足そうに笑う七海に五条は顔を覆う。

    「はーーー……お前を喜ばせるつもりが僕が喜ばされてんじゃん…」

    「何を言ってるんです?私も喜んでますよ。」

    「いや…!……うん…そっ…か…」

    「えぇ。」

    「………明日、」

    「はい?」

    「明日、味噌汁の作り方教えて…」

    白米を食べながら、恥ずかしそうに五条がお願いをする。

    「良いですよ。ただ、仕事が何時に終わるか…」

    「明日は僕もお前も、休みだよ。」

    「え…?」

    「僕がぜーんぶ終わらせてきた。」

    お前は明後日も休みでーす!誕生日プレゼント!と五条は笑う。
    あぁ、敵わない。と七海は思う。自分の分と、七海の分の任務をこなし、苦手な料理を振舞ってくれた。

    「……」

    「…七海?」

    「五条さん。」

    「なぁーに?」

    「ありがとうございます。」

    「ん。どー致しまして!」

    ふわり、と微笑んだ七海に五条も微笑む。

    「食べ終わったらお風呂行っておいで。その間に片付けしておくからさ。」

    「手伝います。二人の方が早く終わる。」

    「でも…」

    「もう誕生日は終わったんです。片付けぐらいやりますよ。それに…」

    「……一緒にお風呂、入らないんです?」

    「おっ…まえねぇ…」

    「さ、早く片付けましょう。」

    「はいはい。まったく、お前には敵わないよ…」

    「そんなの、」





    (ところで誰に聞いたんです?)
    (ん?何が?)
    (作り方、誰かに聞いたんでしょう?)
    (えっ!?あっ…うん…)
    (お礼が言いたいので教えて下さい。)
    (お前がお礼言うの?)
    (はい。)
    (なんで。)
    (とても嬉しかったからです。)
    (…そんなに?)
    (そんなにです。)
    (……悠仁。)
    (虎杖くんですか…)
    (今度皆で焼肉行こう。僕とお前が出せば良いでしょ?)
    (ちゃんと私にも払わせて下さいね?)
    (はいはい。わかってるよ。)
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