Recent Search
    Create an account to bookmark works.
    Sign Up, Sign In

    Kinashi_06

    @Kinashi_6

    ろくでなし。

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 4

    Kinashi_06

    ☆quiet follow

    『ずるくて甘い』の続き。

    #BLEACH
    #黒崎一護
    kurosakiIchigo
    #浦原喜助
    kisukeUrahara
    #浦一
    puyi
    #腐向け
    Rot

    ホワイトデー 一月後、その日もカレンダーを見ながらの調節は終えていたので、浦原商店に向かうつもりだった。別に催促するためではないが、もしかしたら、という期待の元だ。バレンタインデーは駄菓子屋の商売柄覚えていた。となれば、必然的にホワイトデーも知っていると見ていいだろう。
     校門を出て、浦原商店の方角へ足を向けた時だった。
    「あ、黒崎サーン」
    目立つ格好そのままに、浦原が杖を突くのと反対の左手でひらひらとこちらに手を振っていてギョッとする。想い人の待ち伏せに気分が高揚したが、オレンジ髪の男子高校生が甚平に帽子、下駄の男に手を振られているという絵面に注目が集まっていることに気付く。
    「ちょ、こっちに来い!」
    「ハイハイ」
    予想していたとばかりに、浦原は心得たと頷いて一護の背に続いた。

    「どうしたんだよ。わざわざ店から来たのか?」
    いや、そんなまさか。ドクドクと心臓がうるさい。人通りの少ない路地で、浦原はいやあ、と呑気な声を出した。
    「今日店に来るか分からないんで、何だったらアナタの部屋の窓に大砲で撃ち込もうと思ったんスけどね。粉砕するといけないから」
    「配達感覚で、人の部屋に物をぶち込むなよ。……それで、何投げ込むつもりだったんだよ」
    「分かってるくせに」
    へらりと笑って、浦原が自分の袖口に手を差し入れた。ドクン、と心臓が一際大きく脈打つ。ハイ、と言って一護の手を取り、その手のひらの上にチロルを三つ乗せた。ミルクが二つに、見たことのない種類が一つ。
    「ミルク好きって言ってたでしょう。それと、先日新しく出た新味。まだ市場に出回ってないんで、特別っスよ」
    口元に人差し指を立てて、声のボリュームを落として言われ、顔から火が出そうだった。こんなサプライズ、あっていいのか。こんな小さなビッグサプライズ、他にあるか。
    「じゃ、用件はこれだけっス。お勉強、お疲れ様っス」
    「あ! ま、待てよ!」
    「ハイ?」
    慌てて引き留めると、背を向けて歩き出した浦原がくるりと振り返る。顔の赤みを自覚しながら、それにもかまわずに言葉を絞り出した。
    「……ありがとな」
    「いいえ」
    人を食ったような態度の彼にしては珍しく、ふわりと穏やかな笑みを浮かべたその顔が、脳裏に焼き付く。
    「…じゃあ、来年はイチゴ味でお願いしますねン」
    「は、」
    ニヤリと質の違う笑みでそう言われ、頭が一瞬真っ白になった。
     俺を寄越せって意味で言ってんのか? 何で、まさかバレた? そう考えて、さらに笑みを深める浦原を見てハッとした。
    「うるせえ! チョーシ乗んなゲタ帽子」
    「鼻が痛い」
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    related works

    recommended works