待てば海路の日和あり待てば海路の日和あり
ピンと立った耳、短い尻尾
街に立ち、警務につく姿、凛々しいその立ち姿は、私の憧れであった。
一族の大人は私と違い、ピンと立った耳をしている。
私はまだ小さいので耳が垂れている、そう母から教えてもらった。
いつピンと立った耳になるの、そう尋ねるともう少し大きくなったらね。と答えてくれた。
やがて、蛹が蝶に変わるように自然に変化する物ではないと知った。
ものの本によると、私の年齢の頃には施術するものということだった。
懇願したが、はぐらかされてしまった。
その頃には、断耳断尾は古い習慣と揶揄されていたこともあり、親も迷っていたのだろう。
待ちきれず、自分でナイフを使った
痛みに気を失う、辺りは血まみれになるわで大騒ぎになった(らしい)。
流石に、親もそれならばと傷が治り次第、断耳断尾を行うことを了承してくれた。
ただ、子供のやることだ
碌な準備もせずに切ったものだから傷が化膿、しかも時期は梅雨
それが完治するまで結構な間、お預けを喰らった。
説得は大事、つくづく思い知った。
--おわり--