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    69asuna18

    ジョチェ🛹

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    69asuna18

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    お題サイト『確かに恋だった』様

    【キューピットは語る】
    1.いい加減くっつけ
    2.見てるこっちがハラハラ
    3.我ながら完璧な舞台設定
    4.照れ屋もここまでくると病気
    5.ようやくこの日が
    おまけの6.惚気は他でやってくれ
    (わたし/俺のおかげってこと忘れてない?)
    全部書けたらpixivにあげるつもり

    #ジョーチェリ
    giocelli

    5.ようやくこの日が「いや、なんで!?」

    2人きりにさせた後の事が気になったミヤは、うきうきとしながら店のドアを開けた。あんなに雰囲気が良かったんだ。きっといい感じになったに違いないと思っていたし、惚気話でも聞いてあげようと思っていたのに、ドアの先に居たオーナーは左の頬を真っ赤に腫らして、憂鬱なそうな顔でカウンターに頬杖をついていた。

    「俺が聞きてーよ」

    痛むのか、時折保冷剤で冷やしながら。大きな声でため息をついて。頬か冷たくなったらそれをまたポイと放おる。ジョーの前に座ると、眉尻を下げて申し訳無さそうに苦笑して、頭をポンポンと撫でられた。

    「ごめんな、ミヤ。せっかくいろいろしてくれたのに」
    「あ、いや…謝らないでよ…」

    なんと返事をしたらいいのかわからなくて、口篭って俯くと可愛らしい魚の絵の描いたクッキーが視界に飛び込んできた。

    「お土産、ただのクッキーだけど。薫から、ありがとうって」

    未だ、眉は難しそうに寄っているけど口元はニコリと微笑む。水族館はとても楽しかったと、喧嘩もせずに2人でミヤのお土産を買って。家に帰って、アクアパッツァを食べたんだ。薫が食べたいって言ってと嬉しそうに話してくれた。

    「それじゃ、いつ喧嘩になったの?」
    「喧嘩っていうかな…俺が嫌な事、言ったんだろうな」

    そう言うジョーは遠くを見つめて。何を話したのかは分からないけど、納得いかないんだろうなと分かる顔をしていた。

    「…っ、また、計画立てよ。…ちょっとしたらたまた…」
    「……いや、もう…」

    きっとその言葉の後は、だめだよと続きそうだったのに。その言葉をかき消すように、ドアのベルがなった。瞬間、遠くを見ていたジョーの目はキラキラと光って見えて、何がそうさせているのかと視線の先を探る。そこには、珍しく表情を曇らせたチェリーが立っていた。

    「チェリー!」
    「…ミヤ、来てたのか」

    思わず駆け寄って顔を見上げると目元がじわりと赤く腫れていてひどく擦ったのが容易に想像出来た。チェリーはいつものように優しく接してくれるけれど、何処か落ち着かないようで。泳いだ視線の先に頬を擦るジョーが居て、2人で視線を絡めては気まずそうに唇を歪ませるのを見ながら、ミヤは兎に角2人に再び仲直りをしてほしくて。「……そ、外に出てようか?」と、静寂を裂くように小さな声で呟いた。すると、チェリーは少し唇を噛み締めて。首を横に振った。

    「居てくれ、そのほうが冷静に…話せるかもしれないから」

    そして、ミヤの手を掬ってキュっと少しだけ力を入れて握った。チェリーの顔が心無しか不安そうに見えて、ミヤもぎゅっと手を握り返し、側にいると頷いた。すると、チェリーは決心したのかコクっと息をのみ、ジョーの方へ視線をもどす。ジョーも、じっと、だけれど優しくチェリーを見ていた。優しくというより少しだけ切なそうに見えた。

    「…………その、昨日は…ごめん、その……急で、驚いて……」
    「うん…」
    「お前が…その…好きとか……そんな…」

    手を繋いだ所から伝わる緊張。いつも少し冷たいチェリーの手が、驚くほど熱くて。大丈夫だよと伝わるようにさらに強く握る。そこから、チェリーの言いたい事が伝わって、代わりにジョーが好きだよって伝えて上げられたらいいのに。そう思いながら、ジョーの方を見ると歯痒そうにけれど愛しそうにチェリーを見つめていて。その顔に気がついていないのは、床とにらめっこをしているチェリーだけだった。

    「…俺も、同じ……だから、その…もし、お前の、…気が変わってなかったら…」

    そこまで言った時には、ジョーはカウンターの向こうから飛び出して、俯いたまま崩れ落ちてしまいそうなチェリーをぎゅっと抱きしめた。もう手は離したほうがいいんだろうなと思って力を緩めたら、チェリーは少し控えめにジョーの背中へ手を回した。

    「気が変わるわけねぇ!もう、ずっとだって言ったろ」

    もう完全に二人の世界だったから。流石に一緒には居れないなと、こっそりドアへ向かう。チラリと二人を見ると、ジョーがチェリーの肩越しにパチッとウインクを送る。ごめんて事なのか、ありがとうなのか。それは分からないけど、とりあえず今度デザート奢ってもらうので手を打ってあげようと思った。


    ドアを閉めたあと、お土産のクッキーを忘れた事を思い出す。まぁ、腐るものじゃないからまた取りに来ようと思いながら、ミヤは二人の姿を思い出して頬を赤らめた。







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    69asuna18

    MENU新刊『甘い香りに包まれて』

    前回のイベントでのコピー本『花の香りのする方へ』とその続きをまとめたものになります。
    (加筆修正有り)
    コピー本で出したものの、途中までをサンプルとしてアップします😊
    甘い香りに包まれて生を受けた世には、バース性と呼ばれる新たな性別が誕生していた。男女の性別とは別の第二の性。男と女とは別にα、β、Ωと三つの性別が存在し、全ての人間は六種類に分けられる。αはエリートが多く、βは一番多い所謂普通。そしてΩには発情期なるものが存在し、その体質が故に世間から冷遇されている。その為、性別による差別が目立ち、第二性がΩである人は悩みが尽きない。
    生まれ変わる前と違う事象が起きている事に、興味があった踪玄はバース性の研究に勤しんだ。しかし、調べれば調べるほど、その新たに備わった性別が、人間そのものに嫌悪を抱かせる。
    薬を飲み、体調を管理すれば、Ωであっても社会的に問題なく過ごせるはずなのに、理解が進んでない事もあり、定職につくのも難しく給料も少ない事の方が多い。働ける時に働きたいと思う人も多く、病院に定期的に通う人も少なくない。…出来るのは理解のある人間に囲まれていて、給料が安定している者だけ。そのせいで、発情期に倒れたり、身体に合わない安い薬を飲んで体調を崩す者も少なくない。
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