「聡実くんとおって、俺弱虫なってしもうたんかもなあ」
安アパートの扉が開いて、狂児はそんなことを呟いた。
「どこがやねん 狂児のアホボケカス!!またムショぶち込まれよって、僕かて大阪連絡して無理くり聞いたわ!!何が、何が聡実くんには教えるなやねん!!僕がどんな気持ちでおったとか、か 考えたことあったんか!!!!」
「あったよ」
「は」
息が詰まった。それは予想外の言葉で、いや頭では何度もそうだったらいいと反芻してきた言葉だった。でも間髪入れずに「あった」と即答されると二の句は継げなかった。
「刑務所おった時も、ずうっと聡実くんのこと考えとった。懲役は後悔してへんし、しゃあないっちゅうんかな……。でも聡実くんの傍におられへんのがこんなに辛いんかって改めてしったよ。待たせてもうてごめん、知らせなくてごめん、なあ聡実くん もう黙っていなくなったりせえへん お願い お願いやからこっち向いて お顔見せて?」
「いやや…」
「嫌ちゃう なあ 聡実くん、」
断言されるような口調を使わせれしまえばそれまでだった。だって狂児にされること、されたこと、本気で嫌だと思ったことなんてほとんどなかった。ましてや狂児と二人でいる時、アイツはムカつくほど僕に優しい。なのに時たま、有無を言わせぬ言葉と射ような瞳で僕を貫く。
狂児の指先が僕の顎に軽く添えられて、緩く背けていた顔をまじまじと見られる。
「…っ、きょうじ、」
「聡実くんは綺麗やなぁ 目も鼻も口も、全部綺麗や 神様が一等時間をかけて作らはったんやろうな。…ハ、ァ…堪らんわ、もうちんぽガチガチなってもうてる」
ここからが何も考えられなくなり…… 書きたいきもちはあります。