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反乱軍と会議で名を付けられた、反勢力の集団を監視してほしい。
それは皇帝閣下直々の命ではなくアイン・ジードたっての願いだった。国の重鎮が表立って動くことがあっては帝国の──バルバロッサの威厳に関わるということらしい。概ねその提案は理由を含めて同調できるものだったため、サンチェスは少し思考を巡らせた後、同意した。
今思えば、そのときのアインは何とも言えぬ複雑な表情を浮かべていた。諜報員だと知れればこの身がどうなるか分からない。危険な任務を与えた故の思慮だと思っていたのだが、サンチェスは遠くないうちにその表情の意味を理解することになった。
反乱軍リーダーと遭遇したのは、寂れた街の酒場の一角であった。
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