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    ヒモさにが描きたかっただけの、ヒモ×配信者パロ。ヒモさにって言いたかっただけ、とも言う。
    でも思ったよりヒモ全開にならなかった……もっとヒモにしたかったのに……

    パロディのほうが自由に書けると思ったけど、ちゃんとsonnybanになってるかはわからない🔗🎭

    #sonnyban
    inSonny

    ヒモと配信者①ぼくの家に住み着いてる男がいる。
    家からほとんど出ないでゲームばかりしてる男。時々フラッといなくなるけど、1週間くらいしたら必ず戻って来てくれる男。とんでもなく美しい顔と、美しく黄金に輝く髪の毛を持つ男。

    カフェ勤務から帰宅。
    今朝閉めたはずの家の鍵が開いている……と言うことは。
    「あぅばーん。おかえりー」
    ドアを開けると、中から大好きな声が聞こえてきた。
    帰ってきてたんだ……!つい口元が緩む。
    「ただいま、さにー!」
    リビングから出てきたサニーが両腕を大きく広げたので、遠慮なくハグしにいく。サニーはぼくが帰ると、なぜか毎回必ず抱きしめてくれる。これがあるから頑張れるんだよね。
    「今回はちょっと長かったね、さにぃ。2週間近く?遠くへ行ってたの?」
    「うん、ちょっとね」
    いつもこんな感じで濁される。どこへ行ってたとか、何をしてたとかは、何も教えてくれない。
    でもこれでまた、1ヶ月はどこへも行かずにぼくと一緒にいてくれるだろうから、いいんだ。気にしない……ようにしている。
    「さに、ちょっと痩せたんじゃない?ごはんちゃんと食べてた?」
    ほっぺをツンツンと突く。あまり口うるさく言いたくはないけど、体だけは大事にして欲しい。
    「うん、大丈夫。今日からあぅばんといっぱい食べるからすぐ戻るよ」
    「そうだね!ちょうど今日はたくさん買い物して来たんだ。良かった、早番で。すぐにごはん作るね」
    さっさとキッチンへ向かう。サニーはリビングへ戻ってソファーにごろりと横たわる。

    家にいる様子を見る限り、サニーは仕事をしていない。うちにいない時に少しは稼いで来るようだが、それは大事に貯金するように言ってある。生活費くらいぼくが払えばいいんだ。ぼくは近所のカフェで働きながら、配信者としても多少稼ぎがある。サニー1人養うくらい、平気だ。むしろ、ぼくを頼りにしてくれて嬉しい。

    ぼくが料理してる間、サニーはテレビ画面で動画を観ようとしている。オススメ動画の中からどれを観るか物色しているようだ。
    あ、最近ぼくのお気に入りの配信者『オニオン』の動画ばっかり観てるの、バレちゃうかも。
    「あぅばーん……な、なんか、この人の動画ばっかりオススメに出てくるんだけど……」
    サニーが苦笑いしている。やっぱりバレちゃった。でも、この人顔出しはしてないけどサニーの声にちょっと似ていてかっこいい…なんて思ってることは隠しておこう。
    「あぅばん、この人好きなの?」
    あぁぁ、掘り下げないで欲しい!
    「あーうん。最近ちょくちょく観るかな」
    わざとテンション低めに答える。
    「ふーん」
    サニーはそれ以上突っ込まず、別の動画を見始めた。良かった。
    本当はここ最近急激にハマって、好きどころか「最推し」として崇めている。同じ配信者として憧れや尊敬もしている。実はグッズも買った。何より、サニーがいない間、寂しさを埋めてくれる存在なのだ。そんな存在を、実生活で密かに想っているサニーに知られるのは、なんだか恥ずかしい。

    そう、ぼくらの関係はいわゆるヒモと飼い主みたいなものだ。ただの同居人でもなければ、恋人でもない。ハグ以上の接触もない。
    数年前、ぼくのカフェの常連だったサニーと仲良くなり、それから今のような関係になるのにあまり時間はかからなかった。サニーは甘え上手で、ぼくはそんなサニーを放っとけなかった。
    ずっと一緒にいるうちに本気で恋をしてしまったけど、この気持ちを口にするつもりはない。いいんだ、今のままで。出来るだけ長く一緒にいられたら。

    ぼくはサニーが家にいる間はなるべく配信頻度を減らしている。だけど、以前から決めてあったコラボ配信は別だ。今日も、せっかくサニーが帰って来てくれて嬉しかったのに、仲の良い配信者とコラボ配信をすることになっている。
    「ごめんね、さにー。今夜はしばらく部屋に篭るけど、先に寝ててね」
    明日はカフェがお休みの日だから、きっと夜中遅くまでやることになるだろう。
    「うん、配信がんばって、あぅばん」
    サニーは笑顔で答えてくれた。
    かわいいな、優しいな、好きだな……

    その日の配信中、奇跡が起こった。
    友達でもある配信者とゲームをしながら雑談をしていたら、ぼくのチャンネル「にゃんコロチャンネル」のチャットにぼくの最推し、オニオンが現れたのだ。
    「え、うそ……オニオンさん?!えっと…『このゲームゆるいわりに難しいよね。がんばって、にゃんコロくん、うーちゃん』あっっっっありやとっございましゅっ!!あ、噛んだ!!ありがとうございます!オニオンさん!がんばります!!」
    途端にチャットがざわつく。
    『にゃんとオニオンが絡んでる!』『にゃん、焦りすぎ』『オニオンがコメントするなんて珍しい』『盛大に噛んだね、にゃん』
    ぼくの心もざわつきまくりだ。
    「うわ、わぁぁ、おにょーーー、オニオンさん……」
    もはやまともな言葉が出てこない。
    「おい、どうした、にゃん?」
    と、うーちゃんも驚くほどに。
    チャットは察した。
    『にゃん、オニオン推しだったんだね』『にゃん、オニオン好きすぎでしょ』『オニオンとコラボ、いつ?』

    翌日は遅くまで寝てしまった。昼前に起きるとサニーはまだ寝ていたので、先に起きてコーヒーを淹れる。その匂いに誘われたのか、サニーもすぐに起きて来た。
    「あぅばーん、おはよぉ」
    「おはよ、さに。コーヒー飲むよね?」
    サニーは頷きながら洗面所へと消えていく。
    ぼくはサニーのコーヒーを淹れてから、ソファーに座ってスマホをチェックする。Xを開けると、ぼくのフォロワー達がザワザワしていた。昨日のオニオンとの件だ。
    「あー、しまったなぁ……」
    もっと冷静に振る舞えたら良かったのに。
    「何がしまったの?」
    サニーがリビングに戻って来た。
    「ううん、なんでもない。コーヒーここだよ」
    サニーもぼくの隣に座ってコーヒーを啜る。
    「うまい。さすがカフェ店員」
    「へへ、店長って呼んでくれる?」
    「え、店長なの?」
    「そだよ。前の店長が海外に行くことになったから、今はぼくが店長」
    そっか、がんばってるんだね、とサニーは微笑む。あぁ、かっこいい……一生ぼくの家にいてくれ……

    「昨日の配信、途中まで観てたよ」
    と言われてギクリとする。まさか、あのシーン観てないよね??
    「昨日のあの人、来てたじゃん。オニオンだっけ?」
    バッチリ観られてる!!!恥ずかしい!!!
    「あ、あぁ…」
    曖昧な返事しか出来ない。
    「あぅばん焦ってたね」
    「うん……あ、あんな有名な人とは普段絡みがないから……」
    あぅばんだって有名じゃん、とサニーは呟くように言う。
    「ありがと、さにぃ。最近ちょっと登録者数増えたんだ。へへへ」
    オニオンの足元にも及ばないけど。まぁオニオンは神だからな。配信歴も違うし。比べようとも思わない。
    「ねぇ、あの人の何がいいの?」
    唐突に聞かれて、焦る。
    「え?あぁーなんだろう。何がって言うか…ぼくの持ってないもの持ってる感じで…配信者としてすごいなぁって」
    嘘ではない。ただ、サニーに似てる声がたまらない、なんてことは絶対に言えない。
    「歌もうまいし」
    サニーに似た声でぼくの好きな歌を歌われた時、完全に心を奪われた、とも言えない。
    「そうなんだ…」
    それきりサニーは黙ってスマホを触り始めた。

    でもぼくは、オニオンのちょっと口が悪くてかっこいい声も好きだけど、サニーの甘えるようなふにゃふにゃした声が何より大好きなんだよな……などと考えながらふとスマホに目を落とすと、XにDMがいくつか届いてることに気がつく。大事な連絡もたまに来るので、隈なくチェックしておく。
    「!!!!」
    うそ……オニオンからDM来てる!いつ?……ついさっきじゃん!!
    『昨日は突然コメントしてごめんね。いつか俺ともコラボしてくれない?』
    と言う、シンプルかつとんでもないメッセージだった。手が震えて、変な汗も出て来た。
    あ、ダメだ、神を待たせるわけにはいかない。すぐに返信しなければ。
    『ぜひ!!!よろしくお願いします!!!!』
    びっくりマークだらけのパッションメッセージを返してしまった。
    ぼくの鼻息が荒くなったせいだろう、サニーがぼくの顔を覗き込んで
    「あぅばん?どうかした?」
    と心配そうに聞いてくる。
    「ううん、何もないよ」
    平静を装う。隠す必要はないんだけどね。なんかオニオンの話をする時のサニー、あんまり機嫌が良くない気がするから……オニオンのこと好きじゃないのかも?だから、わざわざ言わなくてもいいよね。

    なんだか今日はサニーの様子がおかしい。難しい顔をしたり、顔を歪めて考え込んだりしている。かと思えば、ぼくをじっと見つめたり微笑んだりもしてくれる。どうしたんだろう?
    今日は夜の配信まで何も予定がなかったので、サニーと近所のカフェにごはんを食べに行ったり、ふたりでゲームをしたりして一緒に過ごした。こんな風に1日中一緒にいられるのは数週間ぶりだ。ぼくは心底嬉しかったけど、サニーは昨日帰って来たばかりだし、疲れてるのかな?ストレスでも溜まってるのかな?ぼくが癒してあげられたらいいんだけど……どうやって?

    「ね、さに、マッサージしてあげようか?」
    それくらいしか思いつかなかった。
    「ええ?なに、いきなり」
    サニーは驚いて目を見開いている。
    「なんか疲れてそうだったから……いらない?」
    「いる!!!」
    慌ててサニーがぼくの腕を掴む。
    「どこが疲れてる?」
    と聞くと、サニーは少し考えて
    「肩…かな」
    と答える。
    ぼく、マッサージは結構得意なんだよね。
    サニーの肩は分厚くて硬かった。確かにかなり凝っている。
    「気持ちい?」
    「うん、気持ち良いよ、あぅばん。上手だね」
    と褒められる。嬉しいな。もっとやってあげたい。
    「このへんは?」
    「ん、いいね、気持ち良い」
    「背中のほうも凝ってそうだね」
    「ん、あぁ、そこ…」
    「気持ちい?」
    「ん、あぅばん上手……」
    「他のところは?腰とか脚とかもやろうか?」
    「ん…………いいや。肩しか凝ってないよ」
    そっか。残念。
    「またいつでもやってあげるからね」
    サニーを養って、ごはんを作ってあげられるだけでも嬉しいけど、もっともっとサニーの支えになりたいんだ。サニーの辛そうな顔はもう見たくない。

    思えば、出会った頃のサニーも今日みたいによく難しい顔をしていた。辛そうな顔も、泣きそうな顔もよく見かけた。人が信じられなくなりそうとか、家に1人でいたくないとか、泣き言も多く、それでぼくが見兼ねてうちに来るように言ったんだ。
    ぼくの家に来てから、みるみる顔色が良くなり、笑顔が増えて嬉しかったんだよな。

    サニーは優しく微笑みながら
    「あぅばんありがとね」
    と、ぼくの頭をぽんぽんしてくれた。こんな風にしてくれるなら、毎日だってマッサージしてあげたい!


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    MOURNING🇯🇵オフでの🟡🟠妄想。当時の🟡のポスト見ないとわかりにくいです。
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    きみのとなり(僕もサニーの隣に行きたいなあ。この並び会社から決められてるから仕方ないんだろうけど)

    収録中、楽しく会話をしていてもちらちらと気にして見てしまう眩しい金髪にまた目を向ける。
    自分との間にいる浮奇に近寄ったりすりすりしたりと楽しそうな姿が視界に入り、誰にも知られないように少し眉を下げた。

    (隣にいれば肩を触れ合わせたり、あんな風にすりすりしたりできるのにな。…でもサニーは何も気にしてないみたいだ。まあ、会話はできるもんね。仕方ない、仕方ない…)

    自分に言い聞かせながら口に含んだ水は先ほどより苦い気がしたが、ふる、と頭を振ってアルバーンは再び会話に参加したのだった。





    冷房が効いた店内は、人が話す声と厨房から聞こえる調理の音で騒がしい。個室にいても声が大きい人間が何人もいるためか小声で何か言っても聞こえなさそうだなとぼんやり考えながらサニーは手元の炭酸水をあおった。
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