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    105@海自艦擬人化

    @sanpomichi105

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    105@海自艦擬人化

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    5203初めての年越し

    #擬人化
    Humanization
    ##本編
    ##3_affection

    ***
     時々強い風が吹いては木々が揺れるざわざわとした音が耳に届く。今朝は随分と冷え込み、場所によっては積雪もあったらしい。雪景色を見てみたかった気持ちはあるものの、寒いのはまだ慣れそうにない。冬生まれとはいってもぽかぽかとした小春日和に進水したものだから、どうやらそれが基準になってしまったらしい。幸いなことに母港となる呉も同じような気候だし、仕事で向かう先は暖かな地域だからあまり心配することはないかもしれないけど。進水の日をきっかけに、目まぐるしい日々の記憶を手繰る。こうして振り返りたくなる気分になるのは今日が大晦日だからだろうか。この一年、当たり前とはいっても何もかもが初めてで。兄達や人の手を借りる度に出来ることが増えていって。つい先日には自分も兄の仲間入りをすることになり。その新たな末っ子となったくまのは、年越しまでもたずソファで寝入ってしまった。腿を枕にされ動けないのは辛いけど、子供らしい少し高い体温が愛おしい。同じ年頃だったと思う、うたた寝から目覚めた時の兄の顔が脳裏を過る。懐かしさに浸っているうち寝息に誘われて微睡む。

    「あき」
     呼び声にうつらうつらとしていた意識が浮上する。いつの間にか夜も更け、除夜の鐘であろう荘厳な音が響いている。「しもきたさん、…今何時ですか」寝起きのかすれ声で聞いた時刻はまだ23時を過ぎたところだった。くまのは先にベッドへ連れていったらしい。なんなら運ぼうか?といたずらっぽく言うので丁重に断っておく。小さいうちはともかく、成人間近となった今はさすがに恥ずかしい。コーヒーを淹れてくると言うのでそれはありがたく相伴に預かることにした。まだ少し眠気が残る思考で、締めくくりに何を話そうかと悩む。初めての冬と二度目の冬、そしてこれから巡る季節のことも。
     ただの弟で居られるこの場所で。汽笛が鳴るまではもう少し
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    105@海自艦擬人化

    DOODLEかもめ(新幹線)とやはぎ(艦)。セルフクロスオーバーみたいなものです。
    新米の冒険 駅から続く電車通りから外れて海沿いの遊歩道を軽く駆け抜け、公園の端まで来るとそこから人々が憩う様子をふわふわと潮風を浴びながら眺める。この景色は元々は海から見る予定であったけれども、あいにく天候の折り合いが悪くて叶わなかった。それ自体はいまも残念に思っているものの、こうして別の機会にでも自ら赴けるあたり、人の身に意識を宿したことのありがたさを感じる。まだ慣れていないのもあってしばしばバランスを崩してしまうけれど。本体の性質のせいかこの身体でも走るのは好きだ。でもたまにはゆっくり歩くのも良いな、と遊ぶ幼い子供の笑い声や木々のざわめきを耳にしつつ元来た道を戻るべく振り返る。
    「こんにちは!」
     いつからいたのか、視界の手を伸ばせば触れられる距離に子供が立っていて、思わずびくっと身体が跳ねた。やや緊張した面持ちで声を掛けてきた子供は背格好からしてまだ小児料金が適用される年頃に見える。驚いて真っ白になった頭でもそれだけは真っ先に過ってちょっと可笑しくなった。落ち着いて思考を巡らせる。確か出掛ける前に先輩からは「人からは見えないのだから、もし迷ったら呼びなさいね」と言って携帯を持たせてくれたのだけれど。中には見える人もいる、ということなのでしょうか。こんなことなら対策を聞いておくんだったと内心はあたふたとしながら何を言うべきかを考える。
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    105@海自艦擬人化

    DONE祝・118進水日!10周年おめでとう~!
    雨上がりの記憶 不意に目を覚ます。直前まで夢でもみていたのか一瞬、ここはどこだっけと頭をよぎった。薄暗い中で視線を巡らせて、艦の馴染んだベッドであることを確認する。枕元に置いているデジタルの腕時計を手探りで掴み、顔の前でかざすと時刻は〇五二九を示していた。付近のベッドではまだぐっすりと眠っている者が大半のらしく、機械の作動音が低く響いているのを除けばしんと静まっている。
     もう一〇年前、か。
     寝起きの少しぼんやりした頭で今日だなぁと思い出す。時刻と並んで表示されていた日付は八月二二日。かつて海へと滑り降りた日だ。当日朝は普段と違う様子に緊張していたのか、単に暑くて寝苦しかったか、もしくは夢見でも悪かったのか。起きてしばらくの間ぐずぐずと泣いて、立ち会いのしらゆきさんを困らせたような記憶が朧気に残っている。ただ、さすがのベテランと言うべきか、彼の気性ゆえか、あれこれと世話を焼かれている内にすっかり機嫌が治っていだから不思議なものだ。僕では同じように出来ないだろうと思う。艤装中に〝ふゆづき〟の舞鶴配備を知ってからは生まれ故郷とのことでしばらくご無沙汰だけど、と注を入れながらも馴染みの店をいくつか教えてくれたりもした。就役後に訪れると既に閉めているところも多くあったけれど、続いているところの中には自分も気に入って、通っているところもある。出港中ですぐには叶わないけれど帰ったら久しぶりに買いに行くのを楽しみにしていようと思う。
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