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    105@海自艦擬人化

    @sanpomichi105

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    105@海自艦擬人化

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    5201+3520+②
    いらっしゃいませ3520!

    #擬人化
    Humanization
    ##本編
    ##3_affection

    小さな案内人「ひびき!」
     子供は朝から元気だなと自身を呼ぶ声に応えてやりながらまだ眠気の残る頭でぼんやりと思う。さすが護衛艦と言うべきか、それなりの距離を息切れひとつせず一気に駆け寄ってきて隣へと並んだ。
    「おはよ、くまの。早いね。ちはやはどうしてた?」
    「眠いから後でって言ってた」
    「うん、わかった。もう少し掛かるだろうからゆっくりしていて良いよ」
     ちはやの方が対人応対に向いているからと任せたいとことだけど、陸上げ中で調子が出ないならば仕方ないと諦める。とはいえ、どうしようか。はたかぜとは歳こそ近いもののほぼ接点も無く、呉に来てからですら挨拶くらいしかしていない。間がもたないよなぁと頭を悩ませたところで、この際くまのに任せてみてもいいかとひとつの案が脳裏を過る。本人の希望次第ではあるけど。

     接岸した艦からやや離れて、次々に降りてくる乗員達を二人で眺めていた。そのうちはたかぜも出てくるだろうと、人数多いねぇと言い合っていたところに集団から離れる人影がひとつ。
    「しばらく世話になる。よろしく頼む」
     普段から生真面目そうな顔をしているけれど、どことなく緊張した面持ちが加わり更に強張っている。大ベテランの元DDGでも不馴れな環境で戸惑うのは同じか、と少し親しみが沸いた。
    「いらっしゃい。何か疑問があれば遠慮なく聞いて。僕もちはやもここ生まれだからある程度答えられると思うよ」
    「そうさせてもらう。…ところで、先程からじっと見られているんだが。この子はくまの、だな?」
     名前を呼ばれたくまのがこくこくと頷き、今にも手を引いて行きそうなのをもう少し待ってて、と抑える。
    「そうそう、先に謝っておくよ。来て早々悪いけど、こっちいる間の遊び相手頼まれてくれる?僕らじゃ体力が追い付かなくてね。昨日君が来ることを伝えたら朝からこの調子で」
    「承知した。出る前にせとゆきから話は聞いた。俺で良ければ相手になろう」
    「助かるよ。それじゃあ後は案内を」
     はいっ!と元気に返事をするくまのへとバトンタッチする。良いよね?と聞けば頷きを返してくる。初仕事だと張り切るくまのの嬉しそうな顔につられてはたかぜの表情も緩んできた様だ。これなら自分の仕事は補足程度で済みそうかな、と二人の様子を窺いながらゆったりと背を追った。
     初夏の太陽が海を照らすいい朝だ。
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    105@海自艦擬人化

    DOODLEかもめ(新幹線)とやはぎ(艦)。セルフクロスオーバーみたいなものです。
    新米の冒険 駅から続く電車通りから外れて海沿いの遊歩道を軽く駆け抜け、公園の端まで来るとそこから人々が憩う様子をふわふわと潮風を浴びながら眺める。この景色は元々は海から見る予定であったけれども、あいにく天候の折り合いが悪くて叶わなかった。それ自体はいまも残念に思っているものの、こうして別の機会にでも自ら赴けるあたり、人の身に意識を宿したことのありがたさを感じる。まだ慣れていないのもあってしばしばバランスを崩してしまうけれど。本体の性質のせいかこの身体でも走るのは好きだ。でもたまにはゆっくり歩くのも良いな、と遊ぶ幼い子供の笑い声や木々のざわめきを耳にしつつ元来た道を戻るべく振り返る。
    「こんにちは!」
     いつからいたのか、視界の手を伸ばせば触れられる距離に子供が立っていて、思わずびくっと身体が跳ねた。やや緊張した面持ちで声を掛けてきた子供は背格好からしてまだ小児料金が適用される年頃に見える。驚いて真っ白になった頭でもそれだけは真っ先に過ってちょっと可笑しくなった。落ち着いて思考を巡らせる。確か出掛ける前に先輩からは「人からは見えないのだから、もし迷ったら呼びなさいね」と言って携帯を持たせてくれたのだけれど。中には見える人もいる、ということなのでしょうか。こんなことなら対策を聞いておくんだったと内心はあたふたとしながら何を言うべきかを考える。
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    105@海自艦擬人化

    DONE祝・118進水日!10周年おめでとう~!
    雨上がりの記憶 不意に目を覚ます。直前まで夢でもみていたのか一瞬、ここはどこだっけと頭をよぎった。薄暗い中で視線を巡らせて、艦の馴染んだベッドであることを確認する。枕元に置いているデジタルの腕時計を手探りで掴み、顔の前でかざすと時刻は〇五二九を示していた。付近のベッドではまだぐっすりと眠っている者が大半のらしく、機械の作動音が低く響いているのを除けばしんと静まっている。
     もう一〇年前、か。
     寝起きの少しぼんやりした頭で今日だなぁと思い出す。時刻と並んで表示されていた日付は八月二二日。かつて海へと滑り降りた日だ。当日朝は普段と違う様子に緊張していたのか、単に暑くて寝苦しかったか、もしくは夢見でも悪かったのか。起きてしばらくの間ぐずぐずと泣いて、立ち会いのしらゆきさんを困らせたような記憶が朧気に残っている。ただ、さすがのベテランと言うべきか、彼の気性ゆえか、あれこれと世話を焼かれている内にすっかり機嫌が治っていだから不思議なものだ。僕では同じように出来ないだろうと思う。艤装中に〝ふゆづき〟の舞鶴配備を知ってからは生まれ故郷とのことでしばらくご無沙汰だけど、と注を入れながらも馴染みの店をいくつか教えてくれたりもした。就役後に訪れると既に閉めているところも多くあったけれど、続いているところの中には自分も気に入って、通っているところもある。出港中ですぐには叶わないけれど帰ったら久しぶりに買いに行くのを楽しみにしていようと思う。
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