ディルガイ吸血鬼パロぱろ
「また街に下りるのか?」
隠す気もない不機嫌さが滲む声に、ディルックはゆっくりと振り返った。ガイアが部屋の入り口で腕を組んでこちらを見ている。「あぁ」と短い肯定とともに扉を開けようとしたが、外套を引っ張られて外に出ることは叶わなかった。
「何しに?」
「買い物」
「寝ぼけてるのか?もう夜だぜ」
半笑いで指差した窓の外は真っ暗だ。もとより騙す気もない嘘が余計にガイアの怒りを煽る。
「…分かってるんだろう。わざわざ聞く必要があるのか」
「じゃあ何を言われるのかも分かってるよな。わざわざ金払って血を買わなくても、俺のを飲めばいいだろ」
ほら。そう言ってシャツの襟元を引っ張り首筋を露わにしてみるが、彼は目もくれない。思わず舌打ちをしてしまった。
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