ハイノイサンプル——話がしたい、今夜時間はあるだろうか。
重力区画の床にカツカツと靴の音を響かせながら、昼食を終えたノイマンに声をかけたハインラインの言葉だ。仕事の話ならば勤務中にするだろう。では何かプライベートに関することだろうか。まだ昼休みの時間はあるから、今からでも構わないとノイマンが提案するも、ハインラインの返事はノー。では、自分が部屋に伺う。上官に足を運ばせるなんてとノイマンが言っても、それもダメだと言う。結局ハインラインに押し切られ、時間を取り決めてその場は解散した。一体何だろうかとノイマンの頭には疑問符が浮かんだが、まあいいかと思考を切り替える。どうせ時間になれば分かることだ。今は本の続きを読もう。そう考えて、割り当てられた自室へと再び歩き出した。
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