お互いの事務所間にあるレスティングルームでは、会おう、と示し合わさずとも遭遇することがままある。今日も、呼び出しをくった帰りに隅のクッションに身を投げ出してだらけていると、同じく事務所帰りらしい藍良が俺を見つけてぴこぴこと走り寄ってきた。今日はソロで外部のラジオにゲスト出演するそうだから、先達か、例のプロデューサーにアドバイスでも求めていたのかもしれない。
寝転んだままスマホを懐へ仕舞い迎えてやると、嬉しそうに隣へ座る。わざわざ同じクッションを選んで。ここで会うのなんて数え飽きるほどというのに、よくもまあ新鮮に喜べるものだ。自分も似たようなものだし、からかう気は起こらないのだけど。
「お兄さん、ひとり? 暇ならごはん行こーよ」
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