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    藍燐 藍←燐

    #藍燐
    bluePhosphorus


    「ねェ、ヒロくんもしっかりしてきたしさ。燐音先輩も、そろそろ自分を優先したっていいんじゃない?」
    「燐音くんはいつでも自由気ままにやってますゥ」
    「あー、ちがくて、私生活をね? ファンへの隠し事は増えちゃうけどさ、恋、してみるとか、どう」
    「どうって? アイドルは恋愛禁止なんじゃねェの」
    「そうだけど。でも、どきどきするのも大切じゃない? おれたちはファンと一緒に楽しんだり、誘惑したりがお仕事でしょ。私生活が充実してたら、燐音先輩はもっともっとすごいアイドルになるでしょ。おれはそれが見てみたいなァって」
    「藍ちゃんは魅力的な俺っちを堪能したいの?」
    「うん。だっておれ、アイドルみんなのファンだもん。計算とか、演技とかの枠を超えて輝く燐音先輩も見てみたいよ」
    「で、まずは恋に手を付けろって。恋ねェ。やるなら相手の了解得なくちゃなんないけど」
    「さいしょは片想いでもいいんじゃないの? ていうか、すぐ他人を好きになんてなれないでしょ」
    「んや、そこはもう解消してんだわ」
    「へ? ……えっ!? 燐音先輩好きな人いるの!?」
    「うん。藍ちゃん」
    「へえ、おれ。……はァ!?!」
    「おい、その反応はねェだろ」
    「だって、え!? 刷り込みじゃないんだから!?」
    「……だってもなにも、もう結構前からだし……」
    「……おれを? 好きなことが?」
    「んな何回も言うなよ」
    「ご、ごめんなさい……。て、照れてる……? 燐音先輩が……?」
    「たまげさせて悪かったよ。もう言わねえし」
    「も、え、あ、あきらめちゃうの……!? まだ返事もしてないよ!?」
    「別に、どうこうなるつもりもなかったし。うっかり言っちまったけど、こんな図体の野郎に好かれたって気味悪いだろ。忘れてくれ」
    「……っマヨさん! たすけてマヨさァん!!」
    「え」
    「は、はあ〜い……」
    「マヨイちゃん!? いつから!?」
    「さ、最初から、ずっとですぅ……。お邪魔しないように息をひそめていたんですけど、すいませんっ、私なんかがお二人の大切な時に……」
    「……」
    「ごめんマヨさんっ、燐音先輩逃さないで!」
    「はあ、ええ、構いませんけれど……燐音さん、呼吸を止めていませんか……?」
    「えぇえ!? 燐音先輩!! 燐音先輩ッ!! ちょっとっ、応える前に死なないでよッ!?」



    「ま、まさか自分から死にかけるなんて。びっくりすることしでかすの、やっぱりヒロくんのお兄さんなんだなァ……」
    「気配に気づかねえとか、浮かれ過ぎだろ……くそ、やっぱ俺の柄じゃねえって……」
    「燐音先輩? なにぶつぶつ言ってるの?」
    「あのぅ、差し出がましいようですが、よろしいでしょうか……?」
    「うん? あっ、マヨさんもありがとねェ! おれ一人だと捕まえらんなかったよ!」
    「ええと、そうやって覆い被さっていれば逃げられないのでは……で、ではなくて、ですね。先程のことで……」
    「さっきの? ……あ、告白? そうだよね、マヨさんぜんぶ聞いてたんだもんね」
    「ええ。藍良さん、お返事に迷っていたでしょう? 今すぐに結論を出す必要はないのではないかなあ、と。燐音さんも、今は正気ではないようですし……」
    「俺っち酔っ払っちまってるのかも〜! だから聞かなかったことにしてくれよ」
    「お酒の匂いはしませんよ。ですから、まずは落ち着いてください。藍良さんも、考える時間が必要でしょう。嫌ってはいないからと、二つ返事で承諾するものでもありませんから……」
    「なかったことにすりゃ早いじゃん」
    「私は当事者ではありませんけれど、燐音さんがご自身の心を蔑ろになさることは賛成できませんから」
    「……ねェ燐音先輩。考える時間をくれる?」
    「フラれるまでの時間を味わえって? ひっでえ提案しやがる」
    「どんな答えになるかはわかんない。でも、流されて言いたくないよ。ちゃんと考えるから、おれのこと待ってて。おねがい」
    「……ああ。うん。……でも、なるべく早く切ってくれよ」


    3 巽ひめ要素あり
    「はー、びっくりしたァ……。マヨさんがいなきゃ危なかったかも。巻き込んだりしてごめんね」
    「いいえ、私はただ居ただけですから。通りがかった天井裏でまさか告白を盗み聞いてしまうなんて、驚きました」
    「……ねえマヨさん、もしもの話なんだけどね。おれが告白受けたとしてさ、ここにいたのがタッツン先輩だったら、なんて言うかなァ?」
    「巽さんですか……形から入る関係も否定はしませんよ、とかでしょうか」
    「……あ〜。実体験のやつ……」
    「あちらは、でも、巽さんははじめから腹を括っていたようなので、比較対象にはならないと思いますけど……」
    「すごかったよね、ヒロくんが察するくらいあからさまで……普段からけっこう強引なとこあるけど、あんなにぐいぐい行くひとなんだって、改めておどろいちゃった」
    「HiMERUさんは手強い方ですから。燐音さんも、もしかすると同じくらいに」
    「……う〜ん。……おれを好き、なのかあ。あの、燐音先輩が……」
    「好意を伝えられて、どうでしたか。嫌な気持ちにはなりましたか?」
    「ううん。うれしかったよ。おれのきもちが恋愛になるのかはわかんないけど」
    「すぐにそちらへ誘導しなくてもいいんじゃないでしょうか。お仕事やファンサービス以外で、個人的に手を繋げるかとか、ハグができるとか、そういった接触ができるかなんかを、まずは想像してみて……」
    「うーん。できると思う」
    「では、あの、真っ赤になってしまった燐音さんを抱き締めて、なだめられるとしたら? 藍良さんは引き留めますか。それとも、ジュースなんかをお渡ししてはぐらかしますか?」
    「……むこうがいやじゃないならぎゅってするかなァ。喫茶店とかはそのあとに行くとおもう」
    「では、藍良さん以外の……燐音さんと親しい方もあの場にいたとしたら? その方に任せて去りますか。それとも……」
    「……別の人にあの顔を見せていいかってこと?」
    「そうですね、そちらも考えられますね。実際は、私も覗いてしまいましたが……藍良さんがあの燐音さんを独占できたとしたら? どのような対応をされますか?」
    「……うーん! おれに言ってくれたことだから、他の誰かには任せたくないかも……!」
    「そうですか。結論を急ぐ必要はありませんが、もう藍良さんの中で答えは出ているような気がしますね」
    「……いまのまま言っていいかなァ?」
    「どうでしょう。私の考え方ですから従う必要はありませんけど、もう少し確信を得てから応えて差し上げてもよいのでは」
    「どうしてか聞いてもいい?」
    「たとえば、先程の気持ちを伝えて、はっきりと恋仲にならずに過ごしたとして。やっぱり好きなんじゃなかったかも、なんて思うのは、藍良さんにとってもよくはないでしょう」
    「キープしといて飽きたら振るみたいになっちゃう。……かなしむだろうな、そんなことしたら」
    「でも、あくまで私の考えで想像なので。どうか藍良さんなりのお返事をしてくださいね」
    「うん。……うん。そうだね。そうするよ。ありがとう、マヨさん」


    4 途中
    「せーんぱい。隣、座っていい?」
    「お好きに〜。俺っちそろそろ帰りますんでェ」
    「待って! 逃げないで、おれと話してよ」
    「気まずいの。わかんない? 優しいセンパイばっかなんだから、俺に構ってないでもっと有意義な話してろよ」
    「燐音先輩に用事があるの! おれ、あれからたくさん考えたよ。どうして好きになってくれたかわかんないままだけど、あんたが本音を聞かせてくれたんだから、おれからも本気で応えなきゃ、だめじゃん」
    「ンな重く考えなくていいけどさァ。気持ち悪かったんならはっきり言ってくれよ? 気にするのもやめろってんなら、そうするし」
    「なんで振られるって決めつけてるの。先輩が言ってくれたとき、おれ、ちょっとでも嫌だって顔してた?」
    「んー。直視できなかったからわかんね」
    「おどろいたけど、いやではなかったんだよ、ぜんぜん」
    「だから惰性で受け入れますってかァ? お優しいこった」
    「ううん。惰性とかじゃない。あんたがおれの隣を選んでくれたら、うれしいよ」
    「藍ちゃんのだ〜いすきなアイドル屋さんでェ、頭も良くてェ、近くにいたら便利だから?」
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    MOURNING⚠️超絶捏造
    原稿の息抜きに
    本体Hiが巽の実家の教会に併設された孤児院で過ごす話 巽ひめ バスタブに張られた水からはいつも独特の匂いがする。よく見ると白い沈殿物が浮いてきたり、水中を漂う髪の毛に羽虫が絡まっていたりするので、俺はいつもそれを摘んで、それから洗い場の排水口へ放り投げることにしていた。だってそうしないと、間違って俺の口にでも入ってしまったら、喉の奥に引っ掛かる長い髪の毛の感覚と、夜通し戦い続けなければならないからだ。
     俺が「ボウトクテキ」なことを言ったとかで、大人が俺の言葉に悲鳴をあげた。耳の奥がじんじんするくらい甲高い声で、すぐに何人かの大人が集まってきた。本当にそんなことを言ったのか、と訊かれたので、俺は正直にええ、と言って頷いた。俺はそのとき、「はい」と返事をするよりも「ええ」と頷いた方が賢そうに見えるだろうと思って、そう言った。だけどそんなことは些事だった。俺は大人の考えていることが全然わからない子供だった。きっとすぐに「なんだ。そんなことか。そんなことで驚くんじゃない」と、騒いだ大人の方が怒られるに決まってる、そう思った。でもそうはならなかった。俺の肯定は、その場に集まった数人の大人の顔色を瞬時に青く変えてしまった。
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