霊媒体質春日井くん 第四話 魔が差した。それ以外に言いようがない。
「くるす~」
「………」
すっかりできあがった状態で自分の腰に抱きついてくる恋人を見下ろしてため息を零す。
酔うとキス魔になる甲洋は、操がそれを知ってからというもの家で酒を飲まなくなった。これまでもそんなに飲んでいたわけではなかったが、授業やバイトで疲れた時に一缶くらい空けることはあった。
「もう来主に醜態を見せたくない」
どうして飲まないのかと聞いたら苦虫を百匹くらい噛み潰したような顔でそう返された。
別に醜態なんかじゃなかった、可愛かったよ、と言ったら三日程口を聞いてもらえなかった。そんなに嫌だったのだろうか。いつももっと情けない姿を見せてる癖に。
ポルターガイストで涙目になりながら自分に縋りついてくる様を思い返してくすくすと笑っていたら服がぐいっと引っ張られた。
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