幕間の楓恒④「丹恒よ、最後に食事をしたのは何時かわかっておるのか?」
「…わかっている、この程度ならばとくに問題はない」
「持明族といえども腹は満たさねばならぬぞ」
「この資料を纏め終えれば食べに行く」
「先程も同じことを申しておったが?」
「………」
「まあ、良い…丹恒、口を開けよ」
「……なんだそれは」
「車掌より預かってきた果実だ、これならば食べながら仕事もできるであろう?」
「そうだな…。わかった、受け取ろう」
「何を言っておる」
「自分で食べる」
「余が言ったことを忘れたのか」
「……自分で食べれる」
「ならぬ。丹恒よ、もう一度告げる。口を開けよ」
「…………んっ」
「ふむ……では、このまま其方は続けるが良い。余が其方の口へと運ぼう」
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