秘密を明かすに善き日和。「えー、残念なお知らせと残念なお知らせがあります」
「それは普通良いニュースと悪いニュースがあるって言うんじゃないの」
帰宅早々そう口にすれば、目の前の少年はそう突っ込んでくる。
「じゃぁ、比較的良いニュースと比較的悪いニュースどっちが良い?」
そう言い換えて尋ねれば「じゃぁ、比較的悪いニュースから」と返され、私は頷く。
「国境も超えて引っ越すから、編入試験を急いで受けねばならない」
「あー、じゃぁ、比較的良いニュースは」
「異動により出張がなくなります」
「ナルホド、で、どこ行くの? アメリカ? ドイツ?」
「日本」
「ワォ。僕日本語わからないんだけど」
そう言って少年が口に出した言語は流暢な日本語だった。
そんな会話をした半年後、私と少年は私の生まれ育った実家に顔を出していた。
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