病める時も健やかなる時も「そうやって膝を抱えてめそめそしてるとガキのころと変わんねぇな」
「なんでおれがここにいるってわかったの」
「連絡用の水晶にさ、姫さんから『ダイ君をよろしく』ってメッセージがあったんだよ。島のおれたちの家にいねぇし、姫さんにフラれたおめぇがどっかで泣いてるとしたら、姫さんとの思い出の場所で、そんで人が来なさそうなのはこのバルジの塔だろ」
「おれがフラれたんじゃないもん」
「そうだな、おめぇが姫さんの求婚を断ったんだもんな」
「そうだよ」
「めそめそ泣くぐらいなら今から姫さんとこ行って『さっきのは無し!』って言ってこいよ」
「言わない」
「姫さんと一緒になることで不安があるならオレがなんとかしてやっからさ。おめぇはじぃさんがちゃんと育ててくれたからから品はあるし、体を動かすのも得意なんだから宮廷作法やマナーもそういう武術の型だって思えばすぐに身につくだろうし。お勉強の方も先生に頼んで分かりやすく」
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