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    hariyama_jigoku

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    hariyama_jigoku

    DONEあさふゆ小説。わりと雰囲気。「冷めた目で見ないで」.

     アパートのセキュリティを抜けて、エレベーターのボタンを押す。専門学校を卒業して始めた一人暮らしも、今はすっかり馴染んでしまった。くるりと、鍵のホルダーを回す。日頃の変装が功を奏しているのか、マスコミに追いかけられることもない。
     ドアを開け、鍵を閉めて一歩。ふと足を止めた。部屋に電気が点いている。無意識に生唾を呑み込んで、鞄の中にあるスマホへとゆっくり手を伸ばした。
    「冬優子ちゃーん?」
     聞き馴染みのある声に、一気に肩の力が抜ける。はあ、とふゆのイメージにあるまじき溜め息を吐いて、靴を乱暴に脱いだ。
    「あんた、どうやって入ったのよ!」
     リビングの扉を自棄になって開けると、お気に入りのソファであさひが寛いでいる。こちらの気持ちも知らずに、当の本人はテレビを見ていたようだ。ひらひらと呑気に手を振るさまが恨めしい。
    「おかえりっす! お腹ぺこぺこっすよー」
     あさひが眉尻を下げて、腹を撫でる。その厚かましさに怒る気も失せた。
    「ふゆはあんたの母親じゃないのよ!」
    「そんなの当たり前じゃないっすか?」
     悪態をついてもあさひは首を傾げるばかり。まだ六時頃だったか、遅い時間じゃないと 1561