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    hariyama_jigoku

    リス限はプロフ参照。

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    hariyama_jigoku

    DONEリドフロ。再掲。「消灯まであと」.

     引きずり込まれた建前は、確か一週間の猶予を出された課題を教えて欲しいというだったか。一応恋人同士とはいえ、何の因果かこの双子の部屋で過ごすのもそれなりの回数になってしまった。
     今日はフロイドの片割れも不在のようで、これはそういうつもりだろうかと早々に当たりをつける。だがこちらは課題の協力を求めてきているのだ、テーブルに教科書を広げていると不満そうな声が背後からした。
     ちらりと横目で見やると、部屋の主がベッドに寝転がっていて口を尖らせてこちらを見ている。
    「金魚ちゃん何してんの?」
    「君が課題がしたいと言ったんだろう」
     そうため息をつくと、くるりとペンを回して課題に手をつけた。放逐していると拗ねて絡んでくるのが常なのだが、フロイドが黙り込むものだから部屋に沈黙が落ちる。仕方なく首を捻ると、枕に顔を突っ伏す姿が見えた。手をベッドから垂らしてぷらぷらと振っているから、眠っていないのは分かる。
    「こら、人を呼びつけておいて眠る気かい」
     軽く体を揺すると、少しフロイドが呻いた。
    「オレ、超眠いかも」
     融けたような声が続いて、ああこれは相当だなと思案する。情事の後、シャワーを浴び 1651

    hariyama_jigoku

    DONEリドフロ。再掲。「押し花を作るのと同じこと」.

     ぱっと目が覚める。いつの間にか眠っていたらしい。授業の終わった教室は閑散としていて、自分と何人かしか残っていなかった。
     時計を見ると、もう放課後である。途中まで起きていた記憶はあるが、特に先生は起こしてはくれなかったようだ。そもそも眠る自分をわざわざ叱るなんて、クルーウェルかトレインくらいのものだが。体力育成は気分が乗らなかったら、そもそもサボってしまうのが常だ。
     モストロラウンジの開店には少し時間がある。なんとなくだるい気分が抜けないから、購買にでも顔を出そうかと立ち上がった。週替わりの特別商品を見に行くのは、ここ一か月ほど続けているがまだ飽きていない。
    「なーんか、うるさ」
     教室を出ると、何やら人混みができている。喜ぶ人、床に崩れ落ちる人。人人人。うげっ、と顔を顰めた。イワシの群れみたいで、あんまり好きじゃない。イワシの群れみたいなのに、不揃いで少し気持ち悪い感じがする。
     遠目ではあんまりよく分からないが、何か貼り紙がされているようだった。数歩近付いて、ようやく書いてあることが見えてきた。成績優秀者一覧、とでかでか書かれている。
    「あっ、今日じゃん」
     ぽんと手を打 4646

    hariyama_jigoku

    MAIKINGリドフロ。.

    リドルのロッカーが開いていた。鍵はかけていたはずだが、強引に抉じ開けられている。中は整然と物を置いていたはずだが、荒らされたせいで見る影もない。ぐらぐらと怒りで視界が赤く染まった。
    「誰か、この部屋に始めに入ったものはいるかい!」
    声を荒げるとおずおずと一人の生徒が名乗り出る。怒りをどうにか押さえつつ、この部屋に入る際に不審な人影を見なかったかと尋ねた。
    「いや、部屋はこのままだったけど…」
    「それならいいんだ。ちなみに疑っているわけではないんだが、僕のロッカーに何かしたのは君ではないね?」
    一応の確認とばかりにそう言うと、生徒は少し顔を青くして横に首を振る。
    「そうか、呼び止めてすまないね」
    ため息混じりに返すと、そそくさと生徒は自分のロッカーの前へと戻っていった。
    改めて自分のロッカーの中身を確認していく。記憶の限り物が取られた形跡はなく、増えたものもない。実に不可解だ。
    苛立ちが募るが、今は犯人捜しをしている時間はない。次は飛行術の授業があるのだ。速やかに着替えて運動場まで出なければいけない。一分たりとも遅刻することは許されないのだ。
    なんとか仕度を終えて、箒を持ってロッカ 798