「ヨシエちゃん、聞いたわよ。ヨシタカくん、病気なんだって?」
朋江ちゃんが好奇の目を隠さずに私に聞いた。
「え、ええ……」
「大変ねえ、まだ若いのに」
手元に目を遣る。ケースからビーズをつまみ上げてテグスを通す。一つ、二つ、三つ。私が半ば上の空でいると、朋江ちゃんはつまらなさそうに自分の手元の作業に戻った。
朋江ちゃんとは学生時代からの付き合いだった。学校を卒業して受付嬢になってからも、どういうわけか何か月かに一度くらいの頻度でお茶に行く仲だった。
私はすぐに両親の紹介で出会った孝夫さんと結婚して家庭に入った。朋江ちゃんものちの世でいうオフィスレディだったけれど、職場で出会った人と結婚して、私が一足先に義高さんを産んで、朋江ちゃんも一つ下に長女の美代ちゃんを産んだ。
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