未定高校時代の友人だという人の結婚式に参列した彼女を迎えに行った、その帰り道。
覚束ない足取りの彼女の手を引きながら歩く。
彼女はお酒をあまり飲まない人だったはずだと記憶しているが、たまたま飲みたい気分だったのか、場の雰囲気がそうさせたのか、頬は紅潮していて目もほんのり潤んでいる。どれだけ飲んだのかと聞けば、へらへらと笑いながら分からない、と間延びした声が返ってくる。明らかに平常とは違った反応に相当飲んだであろうことが伺えた。
迎えに行くまではしゃんと平常通りの爽やかな笑みを携えていたのだが、ふたりきりになってからはこの有様である。酔いが回ってきたのかもしれないが、純粋に甘えられている、と思う。
そもそも彼女が普段お酒を飲まないのは酔っ払ってしまうと格好が付かないからで、外聞を気にする彼女はこんなことで醜態を晒すわけにはいかないでしょうと断ることが殆どだった。だから飲むこと自体が珍しい。
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