駱駝の星焚き火がパチパチ燃えている。昼間はあんなに暑くてたまらなかったのに、今じゃこんなに寒いなんて。
……ってナミが言ってたけど、おれからしてみたら砂漠の夜はすっごく快適だ。だって冬島なんかこんなの屁じゃないくらいの酷い寒さで、視界が真っ白に染まるのだってそう珍しいことじゃない。凍った睫毛を重いな冷たいなって瞬きの度に思うあの頃に比べたら、毛皮を通り越してくる冷たい風も心地よく感じた。
「ああぁあぁ…なんでこんな寒いんだよ…」
「ほんとにな…チョッパーがもふもふじゃなきゃ凍えてたぜ」
抱きついてきて暖をとる二人は相変わらず調子がいいし鬱陶しい。でも、一方でおれの心も何故かぽかぽかしてて、くっつかれたっておれは元々寒くなんてなかったはずなのに、と首を傾げた。不思議な気持ちだった。
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