この出会いは偶然か必然か、どちらでも構わない。
兎にも角にも疾風の如く現れ、致命的なほどに鮮烈で、暴力的なまでに強烈な印象を植え付けた斑目一角という男に僕はたちまち心を奪われてしまった。
ただ飢えを満たすためだけに彷徨い、死なないために生きている泥濘のような日々に倦んでいた。
幸か不幸か、見目の良い容姿は掃き溜めのような世界では十分すぎるほどの価値を持っていた。
僅かばかりの食糧と引き換えに自らを差し出す、最も原始的な手段で命を繋ぐ身の在り方を良しとしていたわけではない。
だが現状を変えることは無理だとも思っていた。
何度も子供じみた空想を描いては破れ、ありもしない情を結ぼうとしては解けた。
その度に心は少しずつすり減って、次第に期待することもなくなった。
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