冬は来る ここ数日のこと。ざわざわと、嫌な感覚がずっとあった。ふらりと気晴らしにでもと外へ出ようと、やけに何かが引っかかる。
日に日にそれは強くなっていって、この二日程度は何をしているのかも分からなくなるくらいにはその感覚に囚われていた。眠っている時だけは、少しだけその感覚からも逃れられていたのに──見てしまった。今日が何日かも分からなくなるくらいには、無意識で何もかもを見ないように、聞かないようにしていたのか。電波で動くデジタルの画面というのは、酷く無情だ。──十一月六日、深夜。まだ、辛うじて日付は変わっていない。
──ああ、私は死んでいる。あの屋上で、確かに死んでいる。頭を撃ち抜いて、落下して。その筈なのに、どうして私はここで生きている?
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