バレンタイン🔥❄️バレンタイン
しゅる、とリボンが擦れる音。カウンターの隅に積み重ねられた箱は可愛らしい包装紙に包まれているが、ガイアの指はその繊細なラッピングを無感情に解いていく。
「仕事と結婚してるくせに、よくも毎年これだけ貰えるもんだな。妬けちまうぜ、なあ旦那?」
「面倒な酔い方をするのはやめてくれないか…」
ディルックに宛てられたはずのチョコレートを次々と口に入れていくガイアの頬はほのかに赤い。酒に強い彼が顔色を変えているのは、相当アルコールが回っている証だった。バレンタインでチョコを渡しに来た客が多かったせいで忙しく、ガイアに言われるがままに酒を出してしまった。少し反省しながら、ディルックは彼の元にあった空のグラスを回収する。ガイアは悪びれもせずオーダーを重ねた。
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