未来時空4スと初夜大成功前夜の話 顔が熱くて熱くてたまらないのは、はじめて口にしたお酒のせいだけではないだろう。
はふ、とこぼした息と口の中がとても熱くなっていて、いつも涼しげな目の前の人もほんのりと顔が赤くなっている。長い睫毛に縁取られたアップルグリーンの瞳も熱を帯びて潤んでいて何だか見てはいけないものを見たような気持ちになった。逃げるように視線を逸らすと、濡れた唇が目に入って、今しがた自分達がしていたことを思い出す。
「あ、ごっ、ごめんなさッ」
謝ろうとした口を熱いもので塞がれて逃げかけた頭をがしりと捕まえられる。反射的に目を瞑るのと同時に、くちゅ、と自分の内側から水音が響いて、喉の奥から変な声が洩れた。
熱に浮かされるようにした先ほどのキスは嘘でも冗談でもないと言わんばかりの二度目のそれに顔が熱くなる一方、どこか安心してしまう。
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