夢か現か 近頃、魏無羨の様子がおかしいことに藍忘機は気付いた。ふとした時に魏無羨が浮かない顔をしているのだ。声をかけようとするが、藍忘機に気づいた魏無羨はいつも笑顔を向け、なかなか聞けずにいた。調子が悪いわけではなさそうだが、日毎に表情を曇らせることが増え、藍忘機の胸中には不安が靄のように広がっていった。
「魏嬰」
藍忘機は目の前で天子笑をあおる道侶の名を呼ぶ。すると魏無羨はいつものように笑顔を彼へ向けて返事をする。
「どうしたんだ?」
「最近君の様子に違和感を覚える」
「俺の?」
不思議そうに首を傾げる魏無羨に、藍忘機はコクリと頷く。そしてその違和感について彼へ伝える。
「時々浮かない表情をしている」
「……そうか? 藍湛の気のせいじゃ」
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