猫を拾った、そう言えばこの薄暗いバーで一緒に飲んでいた相手は、イマイチ顔に照明が当たらず見え辛くとも、どんな顔をしているのか大体想像がつく。きっとお前に猫なんて飼えるのかよ、と言いたげな顔をしているだろう。
「お前、猫なんて飼えんの?」
なんなら言ってくるまである。
「さあ?でも小せぇし、大人しいーよ?見にくるかぁ?」
「子猫かよ、遠慮しとく、また今度見せろよ。」
「じゃあ今度なぁ。」
「名前は?なんてーの?」
「タケミチ。」
「ちゃんとした名前つけてんじゃん。」
半間は特になにを言い返すでもなく、くぴ、と一口酒を飲んでニンマリとした笑顔を返した。別に名前は半間が自分で考えて付けたわけではない、拾った時に首輪の内側に書いてあったのを、そのまま呼んでいるだけだ。
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