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    koimari

    @koimari
    🐻さんを右に、短いものばかり
    時々rpsの架空のはなし

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    koimari

    DOODLEラクウォノ。短い幕間
     アイボリーのタイルに白熱灯が反射し、水を含んで重みを増したゴールドのナイトガウンの裾がゆらんと揺れる。剣呑な光を宿したまま、ウォノはラク以外を浴室から追い払った。白々した光でできたウォノの影はラクに重なったまま、伏せた瞼の奥を探るように視線が刺さった。死の淵から生還し、ひりひり尖った神経が、意識の遥か下層でラクを逃してはならないと警鐘を鳴らしている。その甲高い音に負けないように、ラクも心のうちで叫ぶ。僕を見つけてください。ほら早く。昂った熱がウォノの体を駆け巡り、下腹で煮える。ラクに押しあてる形になっていることに気づき、ウォノの方が驚いたように眉を上げた。
    「……ラク」
    「チーム長」
    「ラク」
     濡れた生地ごと腕を引き寄せると、ウォノの語気が強くなる。寄せられた眉根の隙間に威嚇とごく僅かな動揺が覗いた。壁に背をつけたまま、ラクはゆるゆると足元に跪いた。ジャケットの背が壁面のタイルを擦り、さらさらと音を立てた。重い瞼を伏せた先で、ウォノの猛った中心にびっしょりと濡れた冷たい生地が張り付き、形を浮き立たせている。ウォノの股座に顔を寄せると、スラックスごしの平らなひざが、硬いタイルにこつりとあたる。ふっと吐いた息が、冷えきった衣服の繊維を撫でた。主人に忠実な犬のように跪き、わんと鳴く代わりに口を開いた。
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    DOODLEヘジェ。某映画手錠のシーンのパロディ(?)
     恋人が自宅内で手錠で繋がれていたとき、どういう反応をとるのが正解なのだろうか。なお手錠はピンク色のふわふわとした毛におおわれており、事件性はないものとする。

    「ジェハンさん、どうしたんですか」
     ヘヨンの恋人イ・ジェハンは、彼自身が長年暮らした自宅内の、ヘヨンにあてがわれた一室の片隅で、百八十センチを超える大きな体躯を縮こまらせるようにしてうずくまっていた。体調不良か事件かと焦ったのも束の間、隠すようにしている彼の片方の手首がふわふわの手錠に拘束されていることに気付き、ヘヨンは「は?」と間抜けな声をあげた。手錠の先は備え付けの戸棚の取手と繋がれている。本物ならともかく、チープな玩具であれば壊して脱出することもできそうなものだが、棚の取手か扉が犠牲になるだろう。物音にジェハンさんの父親が訪室したり、理由を説明することになるのは避けたいということだろうか。それでもヘヨンが帰ってくる前になんとかしようと苦心したようで、彼のまわりにはコートや衣服、タオルなど、手錠の鍵を開けるにはおよそ役に立たなさそうなものが散らばっていた。残念ながら、整理整頓の行き届いたヘヨンの部屋で開錠に役立ちそうなものは反対側にある机の中だ。
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