煙草 サンウォンはギョンフンと大きなソファに並んで座り、『エクストリーム・ジョブ』を観ながらチキンを食べ、酒を飲んだ。
イナは今日から音楽教室のレクリエーションで、数日不在だ。
春でも、夜はまだ肌寒い。おかげで四十路の男二人でもむさ苦しくならずに済む。
薬との相性があり酒は控えていたが、今日は薬を飲む方を控えた。医者には薬と合わせて飲むことを止められているだけだから、家でゆっくりする分には支障ないだろう。
泥酔しない程度の量だけの酒を買い、もうじき飲み終わる。
医者と言ってもドヒョンは、サンウォンの数少ない高校時代からの友人だ。薬が効いている気がしなくて、処方できる限界まで薬をもらうために頼った。
スンヒの死、イナ、自分の弱さからも逃げていたが、もう逃げない。一生悩まされることを受け入れたから、今度は最低限だけの薬になり随分と楽になった。
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