発砲。
大きく息を吸う。硝煙の匂い。
息を吐く。血を吐きそうなのはこっちだ。
それの繰り返し。
そうすれば生きていける。
引き換え、目の前の胸はなぜ呼吸をしないんだ?
答えは簡単。
殺したから。
相手を殺し、自分を生かす方法。
それの繰り返し。
けど……。
通信機を取り出す。見た目は市販のスマートフォンと見分けることなど不可能。
連絡先は、一つ。
「はい。」
「完了。」
「よろしい。」
短い通話。
良いんだ。仕方がない。早く帰れば、直接声が聞ける。おまえの匂いを感じることも出来る。
硝煙を浴びた上着を元標的に向かって投げ付ける。
次いで「火種」を放り込む。まだ咲かせない。
通信機も投げ入れる。
乗って来た車からバイクを引っ張り出し、その場を去る。
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