用意された衣装にはフードがついていたものの、残念ながら被ることはなさそうだなと思う。視界が狭まることは、戦場では不利にしかならない。ましてや、カインには厄災の傷もあるのだ。オーエンが同行するので最悪の事態にはならないだろうが、なるべく死角はなくしておきたい。
何せ、これから向かうのは、あのブラッドリーでも手に入れられなかった宝の隠し場所だ。必ず何かある。剣の柄を撫で、顔を上げた。
一緒に任務に当たるのは北の魔法使いにフィガロと経験豊富な者ばかりだ。気負う必要はないとはわかっているが、だからといって気を抜くことはできそうにない。賢者とシノもいるのだ。何があっても対応できるようにしておくべきだろう。
折角の衣装に申し訳ないが、とそっと眉を下げると、ふと気配を感じた。振り向く前に頭に何かが被さった。慌てて取り払おうとする手を掴まれる。硝煙のにおいが鼻をくすぐった。
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