蒼い瞳に幸せを 「今日はコーヒー?紅茶?」
「うーん、コーヒーにしようかな」
「おっけー、お砂糖はいつも通り?」
「ちょっと多めで」
軽く会話を交わしながら、分担して朝食の支度をする、なんてことの無い朝の一瞬。
貴方の好みはコーヒー。お砂糖多め、ミルクも多め。
スクランブルエッグはやや固めで、酸味の強いヨーグルトはちょっと苦手。
トーストやシリアルではなく、クロワッサンだといつもより機嫌が良くなる。
そんな好みを把握するほど、私達は同じ時を刻んだ。
そして、今のこんな光景は奇跡に等しいのだということを日々噛み締める。
少し前には考えられなかった平穏の中、私達は生きている。
コーヒーの湯気と匂いを五感に感じながら、光の射す窓の外を見やる。
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