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    えみ

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    MOURNING緊縛師のエミヤさんが最終的に槍に縛られる槍弓(タイトル)を読みたくて書きはじめてみたら、それで満たされてしまった導入部。弓が和服着てモブ女を吊るだけ。槍は存在の匂わせすらありません。
    自分に縛られて徐々に蕩けてゆく女を見て、自分が縛られたい欲や羨ましさを押し殺して禁欲的に振る舞うエミヤさん良いな〜って…そのあたりは書かれてませんが。
     光量を落とした白熱灯の下、体を折り畳むように女が座している。緋襦袢に白い半襟。裾から覗く足首が酷くなまめかしい。俯いた貌は幼さを残しながらも美しく整い、不安と、隠しきれない期待の色を浮かべている。
     毎度どこで見つけてくるやら、佳い表情をする女だ。思うと同時に背後でシャッター音が響き、まさにその面がファインダーに切り取られたことを知る。
     エミヤは自身の着物の裾が女の視界に入るよう、わざと正面を横切って背後に回った。暗色の紬は、養父が舞台用に仕立てて愛用していた品物だ。今ここにスポットライトはなく、観客もいないが、受け手に与える印象を思えば必要な演出だと割り切って身につけている。
     所在無げに床に置かれていた手頸をとる。ぴく、と小さく揺れた薄い肩を、反対の手の指先でそっとおさえる。触れあう場所の面積が極力小さくなるように、そっと。怯えさせてはいけない。だが安心させすぎてもいけない。初めてこの手技を受ける、その意味を殺してはならない。
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